[バグダッド 8日 ロイター] – イラクのカディミ首相の住居が7日に無人機で攻撃された事件で、同国の治安当局者や民兵組織の関係者は、親イラン民兵組織による犯行との見方を示した。
ただ、関係筋やアナリストらによると、イランは西部国境付近での暴力拡大を回避したい考えで、同国政府が攻撃を指示した可能性は低いという。
7日の攻撃では、イラクの首都バグダッドにあるカディミ首相の住居が無人機による攻撃を受けた。カディミ氏は避難し、無事だったが、複数の護衛官が負傷した。犯行声明は出ていない。
イラクでは10月に行われた国会選挙で親イラン民兵組織の関連政党が大敗。選挙の不正を訴える支持者らと政府側の治安部隊が衝突するなど情勢が不安定化している。
イラクの当局者やアナリストは今回の事件について、新政権から排除されれば暴力に訴える用意があるという民兵組織からの警告だと指摘している。
米ワシントン研究所でイラクのイスラム教シーア派民兵組織を専門とするハムディ・マリク氏は「『イラクで混乱を引き起こすことができる。そのための銃や手段がある』という明確なメッセージだった」と述べた。
地方当局者2人によると、イラン政府は攻撃について事前に知っていたが、攻撃は命じていないという。
民兵組織関係者によると、事件を受けてイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」の司令官が7日にイラク入りし、暴力拡大を回避するよう民兵組織の指導者らに求めたという。
イラクの治安当局者2人は8日、親イラン民兵組織「カタイブ・ヒズボラ」と「アサイブ・アフル・ハック」が協力して攻撃を実行したとロイターに明らかにした。
ある民兵組織関係者は、カタイブ・ヒズボラが関与したとした上で、アサイブの関与については確認できないと述べた。
いずれのグループもコメントは出していない。
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