中国・アフリカ協力フォーラムが開催 仏紙「関係に陰り」 債務の罠などで

2021/12/01
更新: 2021/12/01

中国・アフリカ協力フォーラムは11月29~30日まで、セネガルの首都ダカールで開催された。仏紙ルモンドは「アフリカと中国ー幻滅の瞬間」と題する分析報道を掲載した。

3年ごとに開催される同フォーラムに習近平主席はオンラインで参加し、アフリカ各国も閣僚級を派遣した。アフリカの首脳にとって「国連よりも人気ある」同フォーラムが陰りを見せ始めている。「中国とアフリカの協力関係の盛況はもう終わった」と報道は指摘した。

近年、アフリカでは中国への不満が高まっている。不均衡な貿易関係、負債の罠、エリート集団の腐敗、労働者権利の軽視など多くの問題を抱えている。

仏国立科学研究センター(CNRS)とパリ社会科学高等研究所(EHESS)の経済学者で、中国とアフリカ関係の専門家でもあるThierry Pairault氏は、「お金を使うだけでは経済を発展させることができないと誰もが認識した」「中国人にとっても、アフリカ人にとっても、これは幻想の終わりだ」と指摘した。

中国・アフリカ協力フォーラムは2000年に発足した。中国がグローバル化を本格化させた年でもある。

中国は原材料が豊富にあるアフリカ大陸で大規模な戦略的投資を行った。中国とアフリカ間の貿易規模は2002年の100億ドルから20年の2000億ドルと、20倍に増加した。中国は米国を抜いて、アフリカ大陸にとって最大の貿易相手国となった。

中国はアフリカで全面的にインフラ建設を開始した。

米コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、2017年時点で、アフリカで就労、投資、ビジネスを行う中国人は約100万人に上ったという。

北京の政治的利益

中国は将来の親北京エリートを育成するために、アフリカに孔子学院62カ所を設立し、同時にアフリカから8万人の留学生を受け入れるなどして「ソフトパワー」を浸透させてきた。

2017年にはアフリカ北東部のジブチに中国軍初の海外基地となる軍の補給基地を開設した。

ジブチはアジアと欧州を結ぶ紅海の南側の玄関口に面しているため、国際海運の大動脈であると同時に、軍事的要衝でもある。

Thierry Pairault氏はまた、中国は国連でアフリカ国家からの支持票を頼りに、巨大な政治的利益を得ていると分析した。

国連は一国一票制が原則であるため、中国は一帯一路の参加国を中心に、各専門機関の事務局長選挙の際、チャイナマネーを駆使して票を集めている。

現在、15ある国連の専門機関のうち4つで中国人がトップを務めている。それぞれ、国連食糧農業機関(FAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国際電気通信連合(ITU)、国際民間航空機関(ICAO)だ。

夢まぼろしの承諾

コンゴ民主共和国は2008年、鉱物資源の採掘権を中国企業に付与する代わりに、インフラ(社会資本)を整備してもらう60億ドル規模の契約を結んだ。

しかし、契約に盛り込まれた31病院と2大学の建設はほとんど実現しておらず、コンゴ政府は8月に契約の見直しを明言した。

2017年5月に開通したモンバサーナイロビ間358キロの鉄道建設のため、ケニア政府は約36億ドルを中国の銀行から借り入れた。国家予算の5分の1に相当する額だが、ケニアは2022年までに利息を含む36億ドル以上を返済しなければならない。契約では「借款国(ケニア)およびその資産は、主権を理由に(返済を)免除する権利はない」と明記されている。

ルモンドの記事は、今回のフォーラムで中国とアフリカの関係が今後、下り坂を辿る可能性を指摘した。中国は不透明な契約、負債の罠などの問題に対処しなければ、高まる現地住民の不満に直面するだろうと分析した。

(翻訳編集・李凌)