中国映画『長津湖』、マレーシアで上映禁止に 「共産主義のプロパガンダ」

2021/12/01
更新: 2021/12/01

中国共産党創立100周年を記念して製作された戦争映画長津湖』は、マレーシアで上映禁止になった。同国では多くの人々がネット上で、この映画を「共産主義者のプロパガンダ」と呼んで反対した。

マレーシアのイスマイル・モハメド・サイード第一副内務大臣は、11月29日の下院公聴会で、『長津湖』の公開が承認されていないことを明らかにした。同映画は18日に公開される予定だった。

今回の決定についてサイード氏は、マレーシア映画検閲委員会(LPF)は2002年の検閲法(Act 620)に基づき、公開される映画の内容が国家の安全を脅かさないよう措置を講じたと述べている。

同氏によると、LPFは昨年6本の映画を禁止したが、『長津湖』は今年初めて禁止された映画だという。

「共産主義を煽る映画」

マレーシアの映画館運営最大手ゴールデン・スクリーン・シネマズ(GSC)は10月30日、Facebookに『長津湖』のポスターを掲載した。その後、反対の声が殺到した。

多くのネットユーザーは、このような「共産主義を煽る映画」がマレーシアで公開されることを理解できず、「マレーシアの映画館で共産主義が横行することを許してはならない」と、当局に再度の検閲を求めた。

19日、『長津湖』の配給会社であるGSC は、同映画が「検閲当局によって申請が却下されたため、公開を見送ることにした」との声明を発表した。

10月15日付のドイツ国際公共放送ドイチェ・ヴェレによると、『長津湖』は韓国でも「中国政府が出資したプロパガンダ映画」「歴史の歪曲や誤りに満ちている」などと酷評されており、同国では公開されない可能性があるという。

朝鮮戦争をテーマとした同映画は、1950年に北朝鮮東部にある長津湖付近で起きた激しい戦いを題材にした。中国の兵士が極寒に耐えながら、米軍を主体とする国連軍と戦う姿を英雄的に描写した。

事実に基づかない場面もあり、それを批判したネット書き込みが削除されている。朝鮮戦争の「正当性」を疑問視するジャーナリストが「英雄への侮辱」として逮捕された。

(翻訳編集・王君宜)