[リガ 1日 ロイター] – ブリンケン米国務長官は1日、ロシアがウクライナに対して重大な攻撃的行動を計画しているという証拠に深い懸念を抱いているとした上で、万が一侵攻した場合には「影響の大きい」経済制裁を科すと表明した。
リトアニアの首都リガで開催された北大西洋条約機構(NATO)の外相会議後に述べた。
同長官によると、ロシアの計画には大規模な軍事行動だけでなく、ウクライナを内部から不安定化する工作も含まれている。
同長官は、これまで米国がロシアの行動について述べた中で最も強硬な表現を用い「ここ数週間、ロシアはウクライナでの潜在的な軍事行動の計画を強化しており、ウクライナとの国境付近に数万人の戦闘部隊を追加配備している」と語った。
その上で、米国はあらゆる事態に備える必要があるとした。ただ、ロシアのプーチン大統領が侵攻を決定したかどうかは不明だという。
またNATO同盟内には、ロシアがウクライナに侵攻した場合に強力な措置を講じるという「非常に大きな連帯感」があると表明。「ロシアが外交を拒否してウクライナに侵攻した場合、われわれは行動を起こす準備ができている」とした。
ウクライナ政府によると、ロシアは国境付近に9万人以上の兵力を集結している。
ロシアは2014年にウクライナからクリミア半島を奪ったが、今回の危機では攻撃的な意図は否定しており、NATOとウクライナによる威嚇行動に対応しているとしている。
ロシア側は、ウクライナが同国東部のドンバス地域で親ロシアの分離独立派が支配する地域を武力で奪還しようと準備しているのではないかと懸念していると述べ「非常に危険な冒険主義」と非難。これをウクライナ側は否定している。
また、ロシア側は、ウクライナ軍が国境近くに集結しているため、ロシアは緊張緩和に向けたいかなる措置も取ることができないとした。
ウクライナのクレバ外相は、欧州は危機的状況に直面しており、ロシアはその責任をウクライナに転嫁しようとしていると指摘。「ウクライナはドンバスでの軍事攻撃を計画していないことを改めて公式に表明したい。これはロシアが潜在的な攻撃の準備をしていることを隠すためのナンセンスなプロパガンダだ」と述べた。
ブリンケン国務長官は、ロシアがどのような制裁を受けるかについては明言を避け、ロシアとウクライナ両国が外交に復帰し、2014年のウクライナ東部の和平計画を復活させるよう求めた。
ロシアのプーチン大統領は1日、NATOの東側への動きやロシア領土近くへの兵器配備を排除する法的保証を得るため、米国およびその同盟国との真剣な交渉を望んでいると述べた。
前日には、NATOが「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えてウクライナにミサイルを配備した場合に備え、ロシアは新たに実験した極超音速兵器を準備していると述べた。
NATOのストルテンベルグ事務総長は、NATOが黒海での軍事演習でモスクワを挑発しているとの見方を否定。ロイター・ネクストのオンラインサミットで「ロシアの問題点は透明性がなく、非常に攻撃的なレトリックを駆使し、以前にも近隣諸国への侵略的行動を隠蔽するために軍事演習を利用した実績があることだ」と述べた。
ロシアは、ウクライナと国境を接する南部軍管区で冬季の定期的な軍事演習を開始し、1万人の兵士が移動したと発表。同盟国のベラルーシも、ウクライナとの国境でロシアと合同軍事演習を行うことを発表した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、東部での戦争を終わらせるにはロシアとの直接対話が必要だと表明した。ウクライナはこの戦争で1万4000人以上が死亡したとしている。
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