米国防長官、中国軍が「リハーサル」防空識別圏侵入に危機感

2021/12/06
更新: 2021/12/06

オースティン米国防長官は4日、活発化する中国軍機による台湾の防空識別圏(ADIZ)への侵入について、将来の台湾侵攻に向けた予行演習のようだと警戒感を示した。「台湾の自衛力を強化するため、支援を加速する」と述べ、中国の軍事面での影響力拡大をけん制した。

オースティン氏は、カリフォルニア州で開催された「レーガン国防フォーラム」で演説し、「自己主張を強める独裁的な中国の出現」がもたらす全体的な課題について言及した。また、中国空軍機による台湾周辺の飛行について「中国が真の戦闘能力を探り、リハーサルのように見える」と述べた。

中国の空軍機はここ1年ほど、台湾の防空識別圏への侵入を連日繰り返しており、台湾海峡での緊張が高まっている。蘇貞昌行政院長によると、今年の中国軍機による台湾の防空識別圏侵入は880回を上回り、昨年の2倍を超えるペースとなっている。

オースティン氏は、台湾関係法に基づき「台湾の自衛力を支援し、台湾人の安全を脅かす武力に対抗する能力を維持する」と述べ、支援を加速すると強調した。中国が台湾に侵攻した場合、米国が軍事介入するかどうかとの言及は避け、「一つの中国」政策を維持する方針を示した。

さらにオースティン氏は、中国共産党は世界の指導的な役割を担う米国の座を奪おうとしていると指摘した。「中国の軍事力は最も重要な課題の1つだ」と強調し、中国人民解放軍は核能力を急速に向上させていると危機感を示した。

米国防総省は11月、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表。中国が2027年までに最大700発の核弾頭を保有し、30年までに少なくとも1000発の核弾頭を保有する意向を持っていると推定した。また、中国は潜水艦発射弾道ミサイルや大陸間弾道ミサイル、空中発射弾道ミサイルによる「核の3本柱」を構築中である可能性を示唆した。

インド太平洋情勢については、同盟国などとネットワークを強化し安定化を図ると強調。米国は「パニックや悲観論」ではなく、「自信と決意」をもって中国の挑戦に立ち向かうと述べた。

米国をはじめ国際関係担当。