弱さは挑発を招く….中共の威圧に対し自衛強化を=安倍元首相、日米台フォーラムで基調講演

2021/12/14
更新: 2021/12/14

安倍晋三元首相は14日、台湾と日本、米国のシンクタンクが共催した「インド太平洋ダイアログ」で基調講演した。安倍氏は中国共産党の圧力を念頭に「弱さは挑発を招くということを決して忘れてはならない」と述べ、陸海空やサイバー、宇宙分野などのあらゆる分野で三者は防衛能力強化に努めるべきだと述べた。安倍氏が台湾のシンクタンクで基調講演を務めるのは今月2度目。

安倍氏はまた中国共産党に「領土拡大を追求せず、隣国を挑発したりいじめたりしないよう自制を促さなければならない」と強く牽制した。そして、経済規模の大きな中国が軍事的冒険に踏み出せば「経済的な自殺行為である」と改めて強調した。

安倍氏は講演冒頭、1996年の民主主義選挙で初めて選出され、昨年逝去した李登輝元総統に悔みの言葉を述べた。また今年は台湾が民主主義を迎えて25年にあたるとして祝いの言葉を贈った。

安倍氏は、先般オンライン形式で開かれたバイデン米大統領主催の「民主主義サミット」で大統領が話したように「民主主義は偶然の産物ではない」と強調し、台湾の民主主義制度の維持と努力を称えた。

中国共産党政権の支配がますます強まる香港は「民主主義の余地がほとんど残されていない」とし、台湾の重要性はさらに高まっていると語った。いっぽう、台湾が軍事的脅威にさらされており「すべての国、とりわけ日本にとって深刻な課題」と述べ、地域の安全保障のために自衛隊と米軍の緊密な連携が重要だと話した。

日本とオーストラリアがCPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を推進するのは、経済面で国際秩序を守るためであり、英国と同様に台湾にも加盟権利があると語った。最後に、台湾が世界保健機関(WHO)など国際機関に加盟することを、日米を含む志を同じくする国々が支援することで「次世代の台湾人に希望の種を蒔く」と表現し、世界の利益になると述べた。

蔡英文総統 友情を確かめた年

蔡英文総統は同ダイアログの冒頭演説で、台湾は「困難な課題に直面しながらも圧力に屈することなく、インド太平洋地域の安全、平和、自由、開放を守るために志を同じくするパートナーと協力していく」と志を語った。

この数か月間で台湾は欧州議会、フランス、スロバキア、ボスニア・ヘルツェゴビナからの議員団を迎えている。蔡総統は、さらなる両国間の協力関係の深化のみならず、民主主義パートナー間の連帯の精神を示すことができたと述べた。

蔡氏は中共ウイルス感染症の流行に見舞われた2020年は、史上最も困難な年であると同時に、勇気、温かさ、そして友情の年だったと形容した。今年は世界中の志を同じくする民主的パートナーと、より強い協力関係を築くことができた年だと述べた。

このダイアログは台湾の遠景基金会、日本国際問題研究所、新米国安全センター(CNAS)が共催した。米国からはスコット・バスビー国務省民主主義・人権・労働局首席次官補代理代行がオンライン形式で出席し講演した。台湾は吳釗燮外交部長などが出席した。日本からは安倍氏のほか日華議員懇談会会長の古屋圭司議員、有村治子議員がスピーチした。

【独占取材】日華議員懇談会・古屋圭司会長 日本と台湾の絆は一日にしてならず、米国と力合わせて台湾守る

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。