AIの学習にはデータが不可欠だ。利用できるデータが多ければ多いほど、AIの学習能力は高まる。そして中国は、必ずしも軍事利用ではないが世界最大級のデータセットを持っている。
中国軍は、戦略的なAIアプリケーションに加えて、無人撮影システムや最新のロボット戦闘機、空域シミュレーターなどの戦術的なアプリケーションでも追いついてきている。米軍は20年前に研究開発を開始したが、中共は近年の人工知能や機械学習システムの急速な発展により、全速力で追いついている。
中国中央軍委科学技術委員会主任の劉国治中将は、AIが軍の再編プロセスを加速させ、部隊の配置や戦闘スタイル、装備システム、戦闘効果に根本的な変化をもたらし、さらには深遠な軍事革命を誘発すると考えている。
劉氏によると、中共の「情報革命」はデジタル化、ネットワーク化、インテリジェンス化の3段階で進む。現在、中国軍はインターネットのプラットフォームやシステムに情報技術を導入することに成功している。同時に指揮・統制・通信・コンピュータ・インテリジェンス・監視・偵察能力の統合を徐々に進めており、戦力のさらなる向上を目指しているという。
中国のAIの進歩が加速する中、チャイラン氏は、米国がAI競争に勝つために即座に積極的な行動を取らなければ、ゲームの理論上「今から10年から15年後に成功するためのチャンスはない」とみている。
共産主義の脅威
時事評論家のリチャード・ホイ氏は「共産主義は世界覇権と世界支配を達成するために、すべての人間の信念、道徳、文化を破壊しようとしている。人工知能技術の発達により、中共は新たな科学技術力を用いて世界支配を実現する可能性を見出した」と述べた。
「ソ連崩壊から30年後のいま、人々は中共がソ連に代わり西側自由主義社会の新たな脅威になっていることを認識した。多くの分野で中共は当時のソ連よりもグローバルな影響力を持っている」とホイ氏は述べた。
「この30年間、中共は自由世界の怠慢を利用してきた。不公平な貿易と知的財産権の窃盗によって、中国は世界第2位の経済大国、製造業大国になった。さらには社会的資源を独占してAI技術を急速に開発し、新技術時代に米国を凌駕しようとしている」
「中共がAI競争に勝てば、人類の運命は大きな転換点に直面することになる。AI技術はサイバー兵器のような新世代のインテリジェント兵器を生み出す可能性があり、核兵器よりも脅威となるかもしれない。これらの技術は、国のインフラや兵器システムを瞬時に制御し、破壊することができる。未来の戦争のモードとは、いくつかのボタンに触れるだけで完成する。もはやSF映画のワンシーンではなく、人類が直面している現実の脅威なのだ」
「最も重要な問題は、誰がこのような技術をコントロールするのかにかかっている」とホイ氏は付け加えた。
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