ウイグル人にあいさつ語の変更強要 「党があなたに平和を」

2022/01/25
更新: 2022/01/25

「党があなたに平和を与えますように」。中国共産党政権は新疆ウイグル自治区の住民に対して、普段の挨拶をこれまでの宗教上の文言から党への礼賛に変更するよう強要している。投獄中のウイグル族経済学者イリハム・トフティ氏の娘のジェウヘル(Jewher Ilham)さんはこのほど、明らかにした。

ラジオ・フリー・アジア(RFA)の番組「アジアは語りたい」に参加したジェウヘルさんは、「今、家族や友人と交流する時、『習近平があなたに平和を与えますように』『陳全国(元新疆トップ)があなたに平和を与えますように』『(共産)党があなたに平和を与えますように』などの文言を使っている」と述べた。

ジェウヘルさんは新疆にいる家族とビデオ通話をする際、うっかりといつもの挨拶語を口にしてしまったことがある。当時、家族は青ざめていたという。

「家族が周囲に対して抱いている恐怖をはっきりと感じ取った」と述べた。

「米国へ行きなさい!」

父親のイリハム・トフティ(Ilham Tohti)氏は9年前、米インディアナ大学の客員研究員として招待された。親子で渡米の予定だったが、空港で父親が逮捕された。後に国家分裂罪に問われ、無期懲役の刑が確定した。

ジェウヘルさんは空港での出来事を今でも鮮明に思い出すという。

「私は当時、1人で米国に行くのを拒んだ。しかし、父は私の背中を押した」と述べた。

父親はウイグル語で、「この国で受けた扱いを見てみろ。こんなところに残るより、米国の街で掃除しているほうがマシだ」と懸命に説得した。

「当時、手は震え、涙が止まらなかった」とジェウヘルさんは回想した。

2019年、イリハム・トフティ氏は欧州連合(EU)の欧州議会から「サハロフ賞(Sakharov Prize)」を授与された。授賞式には代理として娘のジェウヘルさんが出席した。同賞は人権擁護活動などで功績のあった人物に贈られる。

(翻訳編集・李凌)