北京五輪前 中国共産党による郭飛雄氏一家への迫害

2022/01/30
更新: 2022/01/30

人権活動家で作家の郭飛雄(55、本名・楊茂東)氏は、中国共産党による人権侵害と残虐行為が深刻化する中で、犠牲者の一人となっている。

北京冬季オリンピックを間近に控え、中国共産党の郭氏への残忍な迫害は、ますます激化している。

中国共産党による法曹界への弾圧は常態化しており、その多くはもはや注目されず、外国メディアで報道されることもほとんどない。しかし、郭氏を取り巻く最新の動向により、今後状況が変わる可能性がある。郭氏への迫害の残忍さは、中国共産党自身の基準からしても、あまりにも衝撃的だからだ。

郭氏は政治腐敗を暴く弁護士として、15年以上にわたり中国の権利擁護運動で重要な役割を担ってきた。彼は当局から拷問を受け、何年も拘置所を出たり入ったりしている。彼が受けた虐待は、中国の警察国家の最悪の状況を象徴している。

当局の執拗な嫌がらせにより、妻の張清さんと2人の子どもはタイに逃れ、2009年に米国に亡命を申請した。それ以来、郭氏は家族と離れ離れになり、10年以上再会できていない。

郭氏は、釈放された後も中国からの出国が禁止されていた。1年前、妻の張青さんは末期がんと診断された。郭氏は家族との再会を認めてくれるよう当局に懇願したが、当局は「中国からの出国は国家の安全を脅かす」という理由で、その要求を拒否した。

妻の病状は悪化し、絶望的な状況に追い込まれた。郭氏は公の場で習近平党総書記に訴え、李克強総理に手紙を書き、ハンガーストライキを行った。彼は中国政府に宛てた公開書簡で、当局に「庶民を思いやる」よう求めた。郭氏は昨年12月5日に失踪した。

1月10日、妻は55歳の若さでこの世を去った。その2日後、中国当局は郭氏を「国家政権転覆扇動罪」の容疑で逮捕した。妻を悼む暇もなかった。

郭氏の事件は極端な例ではあるが、より大きな傾向を示している。私は15年近く、迫害に直面する中国の人権活動家たちを支援してきた。また、中国警察の攻撃方法の変化も目の当たりにしている。この分野に携わる人なら、私の実体験を疑うことはないだろう。習近平政権誕生前から今日に至るまで、迫害は懲役刑中心からより広範なアプローチへと移行している。

現在、被害者は投獄されるだけでなく、出所後も収入源を奪われ、友人の援助や雑用で生活することを余儀なくされている。子どもたちは学校への通学を拒否され、配偶者は当局から脅迫や嫌がらせを受け、拘束され、さらにひどい目に遭う事もある。少なくとも2017年以降、中国当局は、出国禁止措置の使用を拡大した。特に本人の家族が迫害から逃れるためにすでに海外に移住している場合はなおさらだ。

すでに11年の刑期を終えた郭氏は、茶番劇のような裁判を経て、今後も刑期を続けることになる。これは中国の司法の悪化をさらに露呈している。そして、中国政府が迫害の方法を単なる拘留や投獄から、被害者の人生を完全に圧殺するまでに拡大した一例である。2022年の冬季オリンピックが北京で開幕されようとしている矢先、中国共産党の残酷さ、卑劣さが、ここで存分に発揮されている。

執筆者プロフィール

ピーター・ダーリン(Peter Dahlin)氏は、NGO「セーフガード・ディフェンダーズ」の創設者であり、北京に拠点を置く中国のNGO「チャイナ・アクション」の共同創設者(2007年~2016年)でもある。著書に『Trial By Media(中国国営メディアによる裁判)』、寄稿に「The People’s Republic of the Disappeared(失踪者の人民共和国)」がある。彼は2007年から北京に住んでいたが、2016年に拘束されて秘密刑務所に入れられ、その後中国から追放された。中国に住む前は、スウェーデン政府で男女平等参画の問題に取り組んでおり、現在はスペインのマドリードに住んでいる。

オリジナル記事:「The Chinese Regime Puts Its Cruelty on Full Display Ahead of Olympic Games

(翻訳・王君宜)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
関連特集: 中国人権問題