[ローマ 29日 ロイター] – イタリア大統領選は29日に第8回目の投票が行われ、マッタレッラ大統領(80)が再選される形でようやく決着した。当初ドラギ首相が次期大統領の最有力候補とされたものの主要政党間の合意形成が難航し、これまで7回にわたる投票ではどの候補者も、当選に必要な上下両院議員や州の代表などの過半数票(505票)を獲得することができなかった。こうした中でマッタレッラ氏を支持する動きが次第に強まり、8回目投票で759票が集まった。
マッタレッラ氏は2期目を務める考えはなかったものの、イタリア政治が危機にさらされている事態に直面し、また主要政党の指導者らから懇願されたこともあり、一転して続投を決意したとみられる。
8回目投票の結果を踏まえてマッタレッラ氏は、なお続くコロナ禍とイタリアが置かれている困難な経済社会状況を踏まえると、議会の決定を受け入れざるを得ないと表明。本来個人的には別の身の振り方を考えていたが、「国民の期待に応える決意をしている」と明言した。
イタリアでは大統領の政治的な役割は大きい。首相を任命するほか、政治危機の際には調整役として機能するためだ。
金融市場は、マッタレッラ氏の続投に伴ってドラギ氏も首相の職務を続ける現状維持の展開をとりあえず好感しそうだ。ドラギ氏はマッタレッラ氏の再選について「国民にとって素晴らしいニュースだ」と語るとともに、投票結果を受け入れたマッタレッラ氏に感謝の意を示した。
ある関係者の話によると、ドラギ氏は以前に自らマッタレッラ氏に電話をかけ、続投を要請したという。
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