中国など6カ国の検閲は米ビジネスに打撃=米国際貿易委員会

2022/02/03
更新: 2022/02/03

米国の貿易取引を調査する米国国際貿易委員会(USITC)は27日、6カ国の海外市場における検閲が米国企業にもたらす影響について報告書を発表した。中国共産党はデジタルサービスや個人情報の監視まで広い分野で「最高レベルの検閲を行なっている」と結論づけ、米国は中国の権威主義的な検閲に真剣に取り組む必要があると指摘した。

240ページに報告書では、検閲が最も横行している国として中国、ロシア、トルコ、ベトナム、インド、インドネシアを列挙。特に年間66億ドル以上を検閲システムに費やし「世界で最も大規模な検閲」を実施する中国については個別の章を設け、米国企業の貿易や投資の妨げになると判断した政策や慣行について解説した。

中国共産党はウェブサイトのアクセス禁止やキーワードフィルタリング、一定時間内に受信可能なメールの通数に制限を設けるスロットリングなど、様々な手段を組み合わせて情報をコントロールし、政治的な検閲を行なっているとUSITCは指摘する。

中国共産党による大規模な情報検閲システム「グレートファイアウォール」についても言及した。厳しい言論統制のもと、海外のSNSやメッセージングアプリなどへのアクセスも遮断し、「天安門事件」や「人権」など当局が好まない情報の伝播も阻んでいる。

そのほか、中国で事業を行うネットワーク事業者がデータを中国共産党に提出することを規定する「サイバーセキュリティ法(2017年)」や「データセキュリティ法(2021年)」など、中国共産党は過去5年間で4つの法律を施行した。

USITCによると、この報告書は二部構成のうちの第一部。今年7月までに発表予定の第二部ではさらに中国の検閲政策や慣行による影響を解説するという。

上院財務委員会のロン・ワイデン委員長(民主党)は記者会見で、中国共産党が施行した「言論の自由を潰す」法律が、米国のメディアやテクノロジー企業による公正な競争を妨げていると指摘。「米国が経済で競争し、世界中の人々に自由で開かれたインターネットを提供したいのならば、米政府は権威主義的な検閲への対抗に真剣に取り組む必要がある」と強調した。

マイク・クラポ上院議員は、自由貿易と米国憲法で保障された表現の自由により「米国は世界市場で成功を収めることができた」と力説。中国共産党は米国の価値観を恐れて「検閲を実施している」と述べ、検閲には積極的に立ち向かう必要があると訴えた。

米国をはじめ国際関係担当。