タイのセークサコン首相府副大臣は11日、タイの安全保障を脅かしているとして国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの追放を申請すると主張した。120万人が署名したとする請願書を1週間以内に国家安全保障会議(NSC)と内務省に提出する予定だ。アムネスティは請願書の信憑性に疑問を呈し、人権を尊重するようタイ政府に求めている。
「この組織は国の安全を破壊し、王政転覆を望むグループを支援している」とセークサコン氏は記者団に語った。
タイでは2020年7月以降、王制改革を求める若者らによる反政府デモが相次いだ。1700人以上の活動家が安全保障関連の罪に問われており、そのうち少なくとも169人は王室を中傷したとして最高15年の懲役刑に処される「不敬罪」で起訴されている。
請願書の提出を受けてアムネスティは、公共の秩序と国家の安全確保は「国際人権法に則るべき」と強調し、政府に人権を尊重するよう求めた。同組織は反政府デモの期間中、拘束されたデモ参加者の釈放と警察による暴力の停止を呼びかけていた。
今回のアムネスティに対する動きは、政府が昨年2月に閣議決定した「非営利組織に関する法案」の成立策定に起因する。同法案は市民社会組織に対し内務省への登録のほか、年間の運営資金の出所の申告を義務付けている。
タイの市民社会組織の活動に対する「妨害や閉鎖に悪用される」可能性があるとして、アムネスティは政府に法案の撤回を求めていた。
アムネスティの地域副責任者ロザン・ライフ氏は「法案の禁止事項は非常に多いため市民社会の日々の活動に大きな影響を及ぼす可能性がある」と声明を発表した。
人権団体の連合体シーフード・ワーキング・グループも昨年、米国務省に法案の撤回を求める共同書簡を提出。「制定されればタイの市民社会に深刻な脅威を与えるだけでなく、人身売買や労働者の権利の改善に取り組んでいる組織にも悪影響を及ぼすことになる」と強調した。
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