ウクライナ情勢が急速に悪化する可能性があるなか、政府は同国西部リビウ市に臨時連絡事務所を開設し、邦人保護業務などを行う。林芳正外相が15日の会見で発表した。対ロシア制裁については具体的な検討内容の言及を避けた。
林外相はウクライナ国境周辺地域ではロシア軍の増強により予断を許さない状況が続いていると説明、外交努力が行われるも「事態が急速に悪化する可能性が高まっている」との懸念を示した。
首都キエフの日本大使館は業務を縮小しており西部リビウ市に臨時の連絡事務所を開設して邦人保護業務を行う。同日の松野官房長官会見によると在留邦人は130人。
政府は11日、ウクライナ全土の危険情報を最高の「レベル4」に引き上げ、在留邦人に対して国外退避を求めた。林外相は「政府はかねてより在留邦人の安全確保に最大限に取り組んでいる。領事メールを発出したほか、個別に電話連絡を行うなど粘り強く退避の呼びかけを行っている」と述べた。
米国も同様の措置を発表している。ブリンケン国務長官は14日、キエフにある大使館を閉鎖してリビウ市に一時的に機能を移転すると発表した。「ロシア軍の劇的な速度での結集」を理由に挙げた。
ロシアによる侵攻が発生した場合の対応について、林外相は「G7で緊密に連携している。現時点では、外交交渉による解決を強く求めている」とし、「制裁を科すことも含めて、実際に起こった状況に応じてG7をはじめとする国際社会と連携して適切に対応していく」と述べた。
前日に発表されたG7財務省の共同声明では「緊張緩和の努力の支援」を優先することを踏まえ、軍事侵攻ならば「ロシア経済に甚大で即時の結果をもたらす経済・金融制裁を共同して科す用意がある」と警告を発している。
林外相は15日夕方に予定されている「貿易経済に関する日露政府間委員会」の共同議長会合について、「日露の経済関係の諸課題について意見交換を行う」と述べ、詳細な内容については言及を控えた。
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