中国、国外でボットや偽アカウントで冬季オリンピック世論戦=NYT

2022/02/22
更新: 2022/02/22

北京冬季オリンピックが終わりに近づくなか、 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)と米独立系調査報道機関プロパブリカ(ProPublica)の合同調査によると、中国当局が偽アカウントなどを駆使して、海外で世論を操作し、冬季オリンピックへの批判を封じ込めようとしていた。

中国国内メディアの報道は、冬季オリンピックの賛美一色で、外国人選手からの好評を多く扱い、批判や不満の声をほとんど取り上げていない。

NYTとプロパブリカの2月18日の合同報道は、「中国当局は海外でもボット、偽アカウント、実在のSNS有名人、その他のツールを使って、情報を操作して不都合な声を消し、オリンピックの楽しい物語を拡散している」と指摘した。

ボットとは、「ロボット」のIT分野での略語。人間による操作や作業を代替したり、人間の行為を模して自動的・自律的に行動するソフトウェアやシステムなどのことを指す。

同取材班は、中国当局の公式発表をリツイートしたり、宣伝したりするTwitter上の偽アカウントのグループを突き止めた。 このグループは、偽物とみられる3000のアカウントで構成され、「スパイシー・パンダ(Spicy Panda)」という中国官製メディアとつながりを持つアカウントのコンテンツをリツイートし宣伝している。

同報道によると、ボットと疑われる他のアカウントは、北京冬季オリンピックに関連する「#Beijing2022(北京2022)」などのハッシュタグを付けたコンテンツを(大量)投稿し、中国政府への批判をかき消している。

報道記事の共同執筆者の一人、プロパブリカ調査ジャーナリストのジェフ・カオ氏は、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に一部経緯を明かした。取材班が問題のあるアカウントのリストをTwitterに報告・提出したところ、Twitterはフェイク・エンゲージメントだと判断し、「スパイシー・パンダ」以外のアカウントを強制閉鎖した。

フェイク・エンゲージメントとは、不正の手口で視聴数やフォロー数などのチャンネル統計データを人為的に水増しすること。Twitterなどのソーシャルメディアは禁止している。

中国当局はある奇策を講じたとみられる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、 Twitterの一部の親中派アカウントが敢えて、「#GenocideGames(ジェノサイド・オリンピック)」というハッシュタグをつけたメッセージを大量に投稿し、同じハッシュタグをつけた中国の冬季オリンピック批判の投稿をかき消した。

ITに詳しい前出のジェフ・カウ氏は、VOAの取材に対し、いずれもとても多様かつ複雑で持続的な作業であり、目的は世論誘導だと話した。

同氏の見方では、香港民主化デモ、中共ウイルス(新型コロナ)、ウイグル人権問題、そして今回の北京冬季オリンピックまで、デジタルツールを使った中国政府のプロパガンダはここ数年でますます巧妙になってきている。

NYTとプロパブリカの同報道は中国当局の他のやり方も明かした。在ニューヨーク中国総領事館がとある米メディア企業と30万米ドル(約3450万円)の契約を結び、ソーシャルメディアの有名人を使って北京冬季オリンピックの宣伝・広告を行っていたという。

(翻訳編集・叶子静)

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