連邦捜査局長官「中国からの脅威はかつてないほど露骨だ」

2022/02/23
更新: 2022/02/23

米国連邦捜査局(FBI)長官は1月下旬、中国政府が西側に押し付ける脅威は「これまで以上に露骨」かつ破壊的なものだと述べ、米国のアイデアとイノベーションを盗み、大規模なハッキング作戦を開始したとして同政府を非難した。 

北京が冬季オリンピックの開催地に選ばれる数日前にロナルド・レーガン大統領図書館で行われたクリストファー・レイ(Christopher Wray)FBI長官の演説は、中国政府に対する痛烈な非難に等しい。これにより、ロシアとウクライナが緊張関係にある中でも米国は中国を長期的な経済安全保障に対する最大の脅威とみなし続けていることが明らかになった。

 FBIが提供した演説のコピーによると、レイ氏は「FBIの全調査のうち2,000以上が中国政府による情報や技術の盗み出しに焦点を当てたものだということを考えると、米国のアイデア、イノベーション、経済安全保障にとって中国ほど広範な脅威をもたらす国はない」と述べ、 FBIは約12時間ごとに中国の諜報活動に対する新たな調査を行なっており、中国政府のハッカーは他のどの国よりも多くの個人・企業データを盗み出していると述べた。 

レイ氏はさらに、「中国政府の産業スパイ活動がもたらす損害は、同国の企業が違法に入手した技術をもとに繁栄していることだけではない。中国企業が成長する過程で、米国の企業と労働者は隅に追いやられている。企業の業績悪化、失業など、スパイ活動がもたらす害は過去10年間にわたって積み重ねられ、今日私たちが覚える挫折感ににつながった。国全体であらゆる業界の労働者が被害を感じている」と述べた。 

中国の政府関係者はこのような訴えを否定しており、中国に汚名を着せるものだとしている。 中国からの脅威は今に始まったことではないが、レイ氏は「脅威はこれまで以上に露骨で破壊的なレベルに達しており、私たち全員が団結して脅威に取り組むことが重要だ」とコメントしている。 

2014年、米国司法省は米国の主要企業へのハッキングの容疑で5人の中国軍将校を起訴しており、その1年後、米中両国は互いの知的財産や企業秘密を商業的利益のために盗み出さないという合意を発表した。 

しかし、その後も米国はハッキングやスパイ活動に関連して中国に対する非難を繰り返している。米国は中国のハッカーがコロナウイルスのワクチン開発企業を標的としてMicrosoft Exchangeのメールサーバーソフトウェアを用いた大規模攻撃を行ったと訴え、多数の中国企業をブラックリストに登録した。 

レイ氏はさらに、中国の国営企業がコピーを企てていたゼネラル・エレクトリック社の先進的エンジンを標的として産業スパイを行った容疑で2021年11月に有罪判決を受けた中国人諜報員の事件を強調して取り上げている。

Indo-Pacific Defence Forum