中国、米企業2社に制裁 台湾への武器売却で 

2022/02/22
更新: 2022/02/22

中国外務省の汪文斌副報道局長は21日の記者会見で台湾に武器を供給したとして、米軍需製品メーカー、レイセオン・テクノロジーズとロッキード・マーチンに制裁を科すと発表した。「反外国制裁法」に基づく対抗措置だとしているが、詳細は明らかにしていない。

米国防総省は7日、台湾の抑止力を強化するミサイル防衛システム「パトリオット」の改良などを支援する機器およびサービスの販売を承認し、議会に通知した。売却額は推定1億ドル(115億円)とされる。この販売の主な契約者は、パトリオットを開発するレイセオンとロッキード・マーティンだ。

ロッキード・マーティンは、今回の制裁措置について「対外有償軍事援助は政府間の取引であり、海外の顧客への軍需品の販売については、米政府と緊密に連携している」と大紀元の取材に答えた。

米国は台湾との正式な外交関係を持っていないものの、1979年に定めた台湾関係法に基づき、中国共産党の軍事的脅威にさらされる台湾への防衛支援を約束している。

中国共産党は台湾への威嚇を強めるなど、台湾統一には武力行使も辞さない構えを示している。この2年間、中国軍機は台湾の防空識別圏(ADIZ)への侵入を繰り返しており、その数は昨年961回に上った。先月23日には中国軍機延べ39機がADIZに侵入。中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は「中国軍機は、遅かれ早かれ台湾上空を通過する」と警告した。

中国共産党は、国際社会から台湾を孤立させるため外交手段も厭わない。台湾との外交締結国に対しては多額の経済援助を行うなどして断交を迫るほか、台湾の国際機関への参加を阻んでいる。

北京冬季五輪では大会組織委員会の報道官が「台湾は中国の一部だ」と発言。政治的な主張だとして国際オリンピック委員会(IOC)から異例の指摘を受けた。

レイセオンとロッキード・マーチンは、米国務省が台湾への18億ドル相当の武器売却を承認した2020年10月にも中国共産党の制裁対象となった。今回は初めて昨年6月に施行した反外国制裁法に基づく制裁。

中国の反外国制裁法は、安全保障や人権問題を理由に米政府が中国企業への規制を強めていることへの対抗措置として導入された。中国でビジネスを行う外国企業に対して、ビザ発給の拒否や国外追放、渡航制限、不動産の差し押さえなどの措置を規定した。

米国をはじめ国際関係担当。
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