ウクライナ情勢が一段と緊迫化するなか、台湾の蔡英文総統は23日、台湾海峡の軍事動向に対して警戒と監視を強化を要求した。このほか偽情報対策や「認知作戦」への対応、経済と株式・為替市場の安定維持を指示した。
台湾総統府によると、政権内の特別チームからウクライナ情勢に関する報告を受けた蔡英文総統は、ロシアによる主権侵害を非難し平和で理性的な解決に関与していくとの考えを示した。また中国を念頭に、台湾海峡の警戒監視活動を強化し、様々な事態に即応できる準備を行い、国家の安全を確保するよう軍などに求めた。
蔡英文総統はまた、台湾とウクライナは地政学的環境に本質的な違いがあるとしつつ、域外の勢力及びその協力者による情報操作や「認知作戦」への警戒を強め、偽情報対策を講じることで台湾社会の情勢を安定化するよう指示した。
北大西洋条約機構(NATO)の報告書によれば、認知作戦は標的となる人々の考え方や行動を変えることに焦点を当てている。中国共産党による影響力工作や「ネット工作員」の暗躍などを指摘し、台湾は神経を尖らせている。
ウクライナ東部ではロシアによる認知作戦が繰り広げられている。親露派武装勢力とウクライナ政府軍との紛争で、ロシアは派兵の口実にするための偽装工作やプロパガンダを展開していると欧米は分析している。
いっぽう今回の蔡総統の指示には経済的な変動への対策、物資や物価、株式・為替市場の安定維持も含まれている。ウクライナ情勢の影響は国際エネルギー市場や農作物市場のみならず、物価や金融市場にも波及することから、政府部門に対し物価の安定を図るとともに予想される影響を最低限にとどめるよう求めた。
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