英上院は3日、国民保健サービス(NHS)に対して、医療用品など調達する際、ジェノサイド(民族大量虐殺)を行っている国の除外を求める修正法案を可決した。
修正法案「健康と保健法案(Health and Care Bill)」の提案者であるアルトン(Lord Alton)上院議員は「上院はこれをきっかけに、我々のNHSが強制労働に関与しないよう確保すべきだ」と議会で訴えた。
同議員は、法案は「中国」を名指ししていないものの、「明らかに中国が念頭にある」と述べた。
中国から防疫製品を大量に輸入
アルトン議員は、英政府はパンデミック以来、中国から大量の個人用防護具(PPE)を購入していたと指摘した。
英政府が購入した369億個のPPEのうち、65%以上が中国産だったという。PPEのほかにも、英政府が中国から10億本の簡易検査キットも購入していた。PPEと合わせると総額48億ポンド(約7281億円)を中国製防疫製品に費やしたと同議員は指摘した。
英紙デイリー・テレグラフも昨年、英政府は米国が告発した新疆の強制労働と関わる企業から1億5000ポンド(約227億円)相当のPPEを購入していたと明らかにした。
議員らは、公的資金が新疆ウイグル自治区での強制労働から利益を得ている企業の懐に注ぎ込まれていると指摘し、行動を起こすよう英政府に求めた。
英議会下院は昨年4月、新疆で「少数民族が人道に対する犯罪とジェノサイドに苦しんでいる」と認定し、英政府に行動を求める決議を超党派の賛成で採択した。
米国は昨年1月、中国政府が新疆ウイグル自治区で行っている行為を「ジェノサイド」と認定した。さらに、米議会上院は昨年12月、新疆からの輸入品について、強制労働で生産されていないという証明を義務付ける「ウイグル強制労働防止法案」を全会一致で可決。
修正法案は今後、下院で審議される。
(翻訳編集・李凌)
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