米国の核兵器管理を担当するチャールズ・リチャード戦略軍司令官は上院軍事委員会で8日、ウクライナ征服を図るロシアや核保有国である中国の台頭により、世界はかつてない危機に陥る恐れがあると警告を発した。
「核兵器を含むあらゆる手段で、世界のどの領域でも暴力を一方的にエスカレートさせる能力を持つ、2つの国に直面している」と述べた。また米史上これほどまでの脅威に直面したことはないと強調した。
次世代極超音速兵器の実験、核兵器近代化の開発と訓練の増加、ウクライナ侵略など、力を背景にした中国とロシアの動きは活発化する。中国外相がロシアを「最も重要な戦略的パートナー」と呼ぶなか、中露が連携するシナリオに備えた計画を準備しなければならないとリチャード氏は述べた。
「私は(中露の)機会主義的で協力的な行動がどのようなものになるかを懸念している」と語った。また、戦略軍司令官の役割にはその両方を抑止することも含まれていると付け加えた。
米戦略司令部は「通常型侵略シナリオにおける限定的な核(兵器)使用」に対応する訓練をしてきたという。このためプーチン大統領のウクライナ侵攻について「私たちの予想外や想定外、準備していないことは起きていない」とした。さらに米軍は「(米大統領が)求めることは何でも行う用意がある」と述べた。
中国の核兵器保有数は増加しているもののロシアや米国よりかなり少ない。米国防総省の推定では中国は2030年までに少なくとも1000発の核弾頭を保有する見通しだが「その上の目標は不明確だ」とリチャード氏は指摘した。また、同省は核戦争を抑止するためにこれまで以上に努力しなければならないと強調した。
この状況下で、米軍は時代遅れの兵器とインフラを運用しており、最新の核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)や核兵器搭載可能な新型爆撃機や潜水艦を作る必要があると主張。2022会計年度予算(21年10月~22年9月)の成立を上院軍事委員会の議員に強く要請した。
北京冬季五輪開幕日の2月4日に行われた中露首脳会談では、「核心的利益と領土保全の強力な相互支援」を確認する共同声明が発表された。ロシアは、自治権を持つ台湾を「中国の不可分の一部」とする中国の見解を支持し、中国はNATO不拡大を訴えるロシアを支持した。
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