[台北 9日 ロイター] – 台湾の通商交渉官であるトウ振中・行政院政務委員(無任所大臣に相当)は9日、米国が近く発足させるインド太平洋経済枠組みで台湾を「正式メンバー」として加入させてほしいと呼び掛けた。台湾は信頼できるパートナーであり、世界のサプライチェーン(供給網)の重要な部分を担っていると強調した。
米政府は先月、インド太平洋地域に外交・安全保障資源をより多く投入し、中国がこの地域で勢力圏を構築して世界で最も影響力のある大国になる動きを押し戻す戦略を発表した。
12ページにわたる戦略概要には、2022年の早い段階にインド太平洋経済枠組みを立ち上げる米国の計画が改めて示されている。この枠組みは、トランプ前大統領が多国間の貿易枠組みから離脱した17年以降、同地域での関与で生じた大きな溝を少なくとも部分的に埋めるものになると米政権は期待している。
トウ氏は米シンクタンクのブルッキングス研究所が主催するオンラインイベントで、民主的に統治された台湾は政治的にも経済的にも信頼できる安定したパートナーだと強調。「台湾は米国のインド太平洋経済枠組みの支持に非常に意欲的だ」とした上で、「台湾がこの枠組みの正式メンバーになることを望んでいるというメッセージを米政府に訴えるとともに、本日のセミナー参加者が米政府への伝達に協力してくれることを期待する」と話した。
トウ氏は、半導体の主要生産地である台湾と米国のサプライチェーンでの協力は、双方にとって極めて重要とも語った。
台湾を自国領土と主張する中国は、米国のインド太平洋地域への関与促進推進を非難し、米政府が「排他的クラブ」を創設しようとしていると反発している。
台湾がインド太平洋経済枠組みに参加した場合、米中関係がさらに悪化し、中国政府は台湾に対する米政府のいかなる支援にも反発する可能性が高い。
米国のクリテンブリンク米国務次官補(東アジア太平洋担当)は先月17日、米国はインド太平洋経済枠組みに中国を関与させる「意図は全くない」と発言していた。
トウ氏は中国が近年、補助金や不公正な貿易慣行を利用して経済力を高めていると主張したが、中国政府はこれを一貫して否定している。
トウ氏は「中国の政治的、軍事的野心は世界秩序に脅威を与えていることを世界に理解させることにもなる」とも指摘した。
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