伊政府は10日、中国国営企業による同国ドローン製造企業、アルピアビエーション(Alpi Aviation)社の買収契約を破棄した。ロイター通信は、伊政府当局者3人の情報筋による話を引用して報じた。
国家安全を脅かす取引を拒否することが可能な「ゴールデン・パワー法」に違反したとして、伊政府は買収契約の破棄を決めたという。買収計画を事前に政府に報告しなかったことも問題視された。
今回破棄したのは、香港企業のマーズ情報科技術公司(Mars、以下はマーズ社)が2018年にイタリアの航空機製造メーカー、アルピアビエーション社の株式75%を取得した取引である。
伊当局は、マーズ社の所有者が中国国営企業2社で、「ペーパーカンパニー」であるとの認識を示した。2社は、国有鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)傘下の投資会社「中車資本控股有限公司」と、江蘇省無錫市の市営投資会社「中聯投控股股份有限公司」。
アルピアビエーション社は、伊特殊部隊や北大西洋条約機構(NATO)に軍用ハイテクドローンを提供している。
「中国国営企業はイタリア及び欧州当局の知らないところで、イタリア企業を買収し、その技術と知的財産権を中国へ移転させている。中国がいかに欧州の甘い投資審査を回避して敏感技術を獲得してきたかを浮き彫りにした」と、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは指摘した。
「ゴールデン・パワー法」が2012年にイタリアに導されて以来、伊政府は外国企業による企業買収を複数回、阻止してきた。そのうち4回は中国企業が関わる買収だった。
イタリアの戦略的に重要な資産の保護を目的とした「ゴールデン・パワー法(Golden Power Law)」は、国家安全保障などの分野に関わる重要企業に対する外国企業の直接投資を規制している。
(翻訳編集・李凌)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。