米議員、人権侵害に責任を問う新たな法案を模索 中国に圧力

2022/03/16
更新: 2022/03/16

良心の囚人からの強制的な臓器収奪、台湾への軍事威嚇、知的財産の盗用ー。中国共産党による暴挙を阻止する法案が米国で相次いで発表されている。クリス・スミス米下院議員は、中国の人権侵害に責任を問う新たな法案を近々提出すると語った。

スミス氏は大紀元の番組「米国思想リーダー」のインタビューで、中国共産党に経済的ダメージを与え、強制労働に従事させられている人々を守る必要があると訴えた。法案には、中国共産党が「人権保護に対する真剣かつ持続的な努力、または記録」を示さない限り、中国の恒久的な正常貿易関係(PNTR)の地位を取り消すという厳しい内容が盛り込まれている。

2000年、米議会は中国に永続的な最恵国待遇を与える法案を承認し、中国の世界貿易機関(WTO)への加盟を推進した。これにより関税の引き下げなど貿易上の利点を持つ中国製品が米国市場に大量に流入した。結果、多くの製造業が失われ、米国の対中貿易赤字も膨らんでいる。

中国にとって最大の貿易相手国である米国が、中国から貿易上の地位を奪うことは中国経済に深い打撃を与えることになるとスミス氏は指摘する。また昨年、米国で成立した中国新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法」を今回の法案に基づいて実施することができれば「改革が進む」と強調した。

新疆ウイグル自治区では100万人を超えるウイグル人や少数民族が恣意的に拘束され、不妊手術や臓器収奪、強制労働が行われていると人権団体などから指摘されている。米国務省のほかオランダ、カナダ、英国、フランスの各議会もウイグル人に対する中国共産党の弾圧を「ジェノサイド」と認定した。

2020年10月1日、ニューヨークの国連本部前にて。チベット人、ウイグル人、カザフ人、香港人、南モンゴル人、台湾人、中国の民主活動家が中国共産党による人権弾圧に立ち向かうよう各国政府に呼びかける(Samira Bouaou/The Epoch Times)

「壊れる」まで拷問

「中国共産党は悪辣で残酷だ。何かを行う際、必ず拷問という手段を用いる」

スミス氏は、33年にわたる不当な拷問を生き抜いたチベット僧パルデン・ギャツォ氏について言及した。ギャツォ氏は中国共産党によるチベット侵攻に抗議したことで1959年に逮捕された。天井から吊るされたまま銃剣で刺されたり、熱湯を浴びせられたりするなど様々な拷問を受けた。1992年に釈放され、インドに亡命。2018年に85歳で死去した。

米議会の公聴会で中国共産党による拷問を証言したギャツォ氏は牛追い棒を持参し、拷問の詳細を語ったという。

「中国共産党は牛追い棒を生殖器、口、腕の下などに押し込み、人が壊れ、死ぬまで拷問を続ける」とスミス氏。「法輪功、キリスト教徒、仏教徒、ウイグル人、政治的反体制者への拷問にも用いられている」

法輪功

法輪功への迫害は中国共産党による今世紀最大の人権弾圧に挙げられる。

法輪功は「真善忍」という3つの理念を指針とする精神修養法。心身の健康と道徳性の向上に顕著な効果が見られるとして1992年に伝えだされて以来、わずか7年間で数千万人が学んだ。しかし、中国共産党はこれを脅威とみなし、99年7月から弾圧政策を実施。中国本土では、数百万人の学習者が収容施設に収容され、拷問や強制労働、臓器狩りなどが行われている。

2019年にイギリスで開催された独立民衆法廷「中国民衆法廷」は、中国共産党の一党支配に置かれている中国本土では、長年にわたり移植手術を目的とした「強制的な臓器摘出が、相当な規模で行われている」と結論を下した。同法廷では、主な犠牲者は法輪功学習者だとし、現在もこの蛮行は続いていると警鐘を鳴らした。

スミス氏は「臓器摘出は抑圧としてだけではなく、独裁政権に莫大な利益をもたらす手段にもなった」と指摘する。

2021年7月16日、中国共産党による法輪功迫害22周年記念パレードに参加する法輪功学習者たち(Samira Bouaou/The Epoch Times)

米上下院議員は3月、良心の囚人からの臓器収奪を阻止する法案をそれぞれ再提出した。

下院の法案立案者であるスミス氏は「このような凶悪犯罪の加害者に個人的な制裁を加えることを核心とする」と述べ、一刻も早い法案採決に向けて前進すると強調した。

「事態は悪化し犠牲者が日に日に増えている。中国共産党の暴挙を阻止するためにも、可能な限りあらゆる手段を用いる必要がある。貿易は最も有力な手段だ」

米国をはじめ国際関係担当。