ロシアによるウクライナ侵攻に関して、ロシア側への直接非難を避けてきた中国の外交官はこのほど、ウクライナ支持を示唆し始めた。専門家は、中国はロシアと同じ厳しい制裁を受けるのを恐れているためだとの見方を示した。

欧米各国が中国のロシアへの軍事支援の可能性を懸念するなか、中国の范先栄・駐ウクライナ大使は14日、ウクライナ西部の都市、リビウの地元当局者に対し、中国はウクライナに経済的、政治的支援を行うと述べた。

米FOXニュースやブルームバークなどによれば、范大使は「われわれは常にあなた方の国家を尊重し、平等と相互利益に基づいて関係を発展させていく」「われわれはウクライナ国民がどれほど素晴らしいかを見てきた」「中国はウクライナの友人である」などと話した。

中国外務省の趙立堅報道官は17日の記者会見で、范大使の発言について「もちろん支持する」と述べた。

中国問題専門家のゴードン・チャン氏は、范大使がウクライナへの強い支持を表明したことに「非常に驚いた」とFOXニュースに語った。

「ただ、ロシア製商品の購入、ロシアの銀行の中国金融システムへのアクセス、ロシア側のプロパガンダ宣伝を止めるまでは、（范大使の）発言に何の意味もない」とチャン氏は指摘。

チャン氏は、欧米各国がロシア経済とプーチン大統領に一連の制裁措置を発動したのを見て、中国側はロシアに協力することで、同じ制裁を受けるのではないかと危惧していると語った。同氏は、中国が今後、実際に行動でウクライナを支持していくのか注視する必要があるとした。

いっぽう、中国の秦剛・駐米大使は15日、米紙ワシントン・ポストに寄稿した際、ロシアによるウクライナ侵攻について、中国は中立であると強調した。

秦大使は、ロシアのウクライナ侵攻に関して、中国が「事前に知りながら（ロシア側を）黙認、または放任していたというは完全に偽情報だ」とし、「ウクライナとロシアの衝突は、中国側にとって良いことは全くない。中国が状況を知っていれば、阻止しないわけがない」と強調した。

同氏は「中国の態度は客観的で公平である。われわれは国連憲章の原則に従い、ウクライナを含むすべての国の主権と領土保全を尊重し、すべての国の合理的な安全保障上の懸念に配慮し、危機を平和的に解決するためのすべての努力を支持する」とコメントし、中国はあくまで中立であるとアピールした。

米セント・トーマス大学の学者である葉耀元氏は、ラジオ・フリー・アジア（RFA）に対し、ウクライナ情勢について「中国共産党政権が今行っているのは、口先の外交辞令とプロパガンダ宣伝に過ぎない」と批判した。

（翻訳編集・張哲）