中国軍、セルビアに地対空ミサイルを提供か 欧州で初

2022/04/11
更新: 2022/04/11

米AP通信によると、中国政府はこのほど、ロシアと友好関係にあるセルビア防空システムをひそかに提供した。ロシア軍によるウクライナへの攻撃が続く中、セルビアの軍拡はウクライナに近いバルカン半島の平和を脅かしていると指摘した。

同報道によると、中国空軍のY-20輸送機6機が9日朝、セルビアの首都ベオグラードの空港に到着した。輸送機にはセルビア軍に受け渡す中国の地対空ミサイルシステム「紅旗-22(HQ-22)」が積まれていた。

軍事専門家は、中国軍のY-20輸送機は北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるトルコとブルガリアの領空を通過したと指摘し、中国側はその戦略輸送能力を誇示しようとする狙いがあるとした。

欧州諸国の中で中国の防空システムを導入したのは、セルビアが初めてである。同国は2019年に中国からの防空システム購入を決定した。アレクサンダル・ブチッチ大統領は、NATOに加盟した隣国は中国軍輸送機の領空通過を許可しなかったと不満を示していた。

セルビアはすでに欧州連合(EU)への加盟申請を行っているが、近年ロシアと中国から戦闘機や戦車を含む兵器を導入した。米当局者は20年にセルビア政府に対し、EUや他の西側の枠組みに参加したいのであれば、軍備は必ず西側の基準を満たさなければならないと警告した。同年、中国はセルビアに軍民両用の無人機「翼竜-1」を提供した。

欧米側は、ロシアと中国の武器提供により、バルカン半島に位置するセルビアが、2008年に同国からの独立を宣言したコソボに対して軍事行動を行うのではないかと懸念を強めている。

セルビア、ロシアと中国はコソボを独立国家と認めていない。

(翻訳編集・張哲)