中国共産党、統一大市場の建設を主張 計画経済の復活か

2022/04/12
更新: 2022/04/12

中国共産党の最高指導機関である共産党中央委員会と国務院(内閣に相当)は10日、「全国統一大市場の建設加速に関する意見書」を公表した。一部の専門家は、意見書は中国政府が計画経済体制を再開するシグナルであるとの認識を示した。

同意見書は、「全国統一の市場制度とルールの確立を加速し、地方保護と市場分割を打破し、経済の循環を制限する鍵となる行き詰まりを打開し、商品や資源などの円滑な流れをより広い規模で促進し、効果が高く規範的で、公正に競争でき、完全に開放された全国統一市場の建設を加速する」と求める。

中国政府系メディアは、意見書について「市場経済の発展に有利である」と主張した。その一方、11日のマーケットは正反対の反応を示した。同日の中国国内株式市場では、各主要指数が軒並み下落した。上海総合指数は前営業日比2.61%安、深セン成分指数は同3.67%安、創業板指数も同4.2%安となった。創業板指数は取引中、2020年7月以来の安値を一時更新した。

独立系学者の栄健氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、株式市場の急落は、多くの投資家が中国政府の同政策に反対していることを意味すると述べた。

一部の経済学者は、中国が計画経済という古い体制に戻っていると懸念した。

セルフメディア「財経冷眼」は、中国政府は統一大市場を通じて「全国で計画経済を実行し、ヒト・モノ、供給網、資金調達、価格を含む経済活動全般を政府の一存で決めようとしている」とした。

「財経冷眼」は、60年前「統一市場」の一環である大躍進政策は大飢饉を招いたと批判した。「新たな『統一大市場』政策の下で、中国では再び人災が起き、モノ不足だけでなく、民営企業の肩身がますます狭くなることも予測できる」

「政府が強くても、すべての市場ニーズを満たすことはできない。政府が統一に配給を行う際、市場価格は機能せず、最終的に供給不足が生じるだろう」

「財経冷眼」は、現在、中共ウイルス(新型コロナ)の感染拡大で市内全域が封鎖されている上海市を例に挙げた。「上海市の現状は統一市場であると言える。すべての物資は政府の許可を受けてから市民に配給されており、モノの流れも政府の承認がないとできない状況だ。食料不足で、餓死の危機を訴える人がたくさんいる」

在中国の欧州企業で構成される中国EU商会は11日、胡春華副首相に書簡を送った。書簡は、中国政府の防疫政策で欧州企業の中国での運営が乱され、生産と物流が滞っていると訴えた。

習近平国家主席は昨年12月17日、全国統一大市場に初めて言及した。 当時、習氏は党中央深化改革委員会第23回会議を主宰した。同会議で「全国統一大市場の建設加速に関する意見」が審議され通過した。習氏は「全国で統一した市場制度とルールを確立することが急務である」と強調し、中央政府の監督管理力を高めるべきだと当局者らに求めた。

(翻訳編集・張哲)