米議会の中国問題執行委員会(CECC)は11日、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が新疆ウイグル自治区のウイグル人の人権を侵害した4社に融資したことに懸念を表明し、同自治区で事業を行う企業への投資を直ちに停止するよう要請した。
CECCは書簡のなかで、IFCは「環境的に持続可能な成長」や「不平等の削減」を促進しているにもかかわらず、深刻な人権侵害が指摘される新疆ウイグル自治区を拠点とする企業への投資を続けていると指摘。これは「新疆の脆弱な人々やコミュニティに対する集団残虐犯罪への加担」を意味すると警告した。
米シンクタンク、アトランティック・カウンシルが2月に発表した報告書によると、IFCは新疆ウイグル自治区でイスラム教徒に対する人権侵害を行った4社に少なくとも4億8600万ドルの資金を提供している。
これらの投資は、基本的な人権デューデリジェンスを実施していないだけでなく、IFC独自のパフォーマンス・スタンダードを順守していないことになると書簡は指摘している。移動の制限や報復の危険にさらされている労働者から情報を得ることが難しいため、新疆で人権デューデリジェンスを行うのは「極めて困難」だとしつつ、企業の情報開示などの机上調査を通じて、IFCが資金を提供した4社の人権侵害を記録することは可能だとした。
新疆ウイグル自治区では100万人を超えるウイグル人や少数民族が恣意的に拘束され、不妊手術や強制労働を強いられていると指摘される。米国は、同自治区の人権侵害を「人道に対する罪」「ジェノサイド」と認定している。
CECCはさらに、IFCが人権侵害に加担する企業への投資を停止しない場合、「世界銀行グループの米国理事に対し、米国の声と票を用いて、関連する融資や金融支援に反対票を投じるよう米国財務長官に指示する用意がある」と強調した。
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