オーストラリアで5月21日、総選挙が行われる。保守連合を率いるモリソン首相は、覇権主義的な動きを強める中国に強硬姿勢を示してきたが、新型コロナをめぐる政策で支持率は低迷。いっぽう最大野党の労働党はかねて中国関係を重視してきた。約9年ぶりの政権交代となれば対中政策およびインド太平洋政策にも影響を及ぼすとみられる。
こうしたなか、豪スカイニュース主催の質疑応答イベントで少数政党の候補者たちが世界支配を目指す中国共産党の脅威に警鐘を鳴らした。
防衛力の強化
ワン・ネーション政党のポーリン・ハンソン党首は「長年にわたり自由党であれ労働党であれ、オーストラリアの土地、農地、資産の所有権を中国が取得することを許しすぎてきた」と述べ、これを阻止する必要があると訴えた。
中国・ソロモン諸島間の安保協定の締結についても懸念を表明し「豪州は防衛力を強化する必要がある。でなければ自衛さえできない立場に立たされることになる」と発言した。豪政府は2国間の合意が自国から2000キロ以内の中国軍駐留につながる可能性があると憂慮している。
「同盟国と協力して戦い、祖国を守る必要がある。中国は豪州の資源と土地に目を向けているのだから」
民主主義の価値
自由民主党のキャンベル・ニューマン候補は中国・ソロモン諸島間の緊張を豪政府が作り出したという一部の政治家の指摘を一蹴した。「中国共産党政権が香港や南シナ海、ウイグル人に対して行ったことが、ここまで進行してきたからだ」と述べた。
「我々の見解を明らかにし、オーストラリアの価値、民主主義の価値を守るために立ち上がることが重要だ」
ニューマン氏は、豪州が中共ウイルス(新型コロナ)の発生源を巡り、第三者による独立調査を求めたことで豪中関係が悪化したことについても言及した。中国は豪州産牛肉の輸入停止や大麦に高関税をかけるなどの対抗措置を取った。
台頭する中国を念頭に豪州は防衛力を強化し、ある程度の自立性を持つ必要があると強調した。
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