日本の南西や台湾周辺の海域では米中間の緊張が高まっている。防衛省は10日、中国海軍の空母「遼寧」が3日から8日まで沖縄県沖大東島の南西の海域で、艦載戦闘機と艦載ヘリが100回を大幅に超える回数で発着艦していると明らかにした。いっぽう10日には、米海軍のミサイル巡洋艦が台湾海峡を通過した。
防衛省によれば、空母・遼寧を含む8隻の中国海軍艦艇は2日に宮古海峡を太平洋に向けて南下した。その後これらの艦艇は沖縄県沖大東島の南西約160キロから石垣島の南約150キロの海域で活動している。岸防衛相は10日の記者会見で、この地域はこれまでで日本に最も近接した海域での活動であり「強い緊張感をもって警戒監視に当たる」と述べた。
中国軍機関紙・解放軍報9日付は、中国軍東部戦区は6日から8日まで台湾以東と西南海空域で統合軍事演習を行い、複数の部隊による統合戦闘作戦の強化を図ったと報じた。
中国海軍報道官は以前、遼寧艦空母編隊による太平洋海域での演習は軍の年度計画に基づいた定期訓練と説明している。
いっぽう防衛省は、中国軍が空母等の運用能力や遠方の海空域における作戦遂行能力の向上を図っている可能性があると分析している。岸氏は「わが国の南西諸島や台湾に近接した海空域での活動であることを踏まえれば、懸念を持って注視せざるを得ない」と述べた。
こうしたなか、米海軍も動きをみせた。横須賀拠点の米海軍第7艦隊は10日、同日にタイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦「ポートロイヤル」が台湾海峡を航行したと発表した。「自由で開かれたインド太平洋に対する米国のコミットメントを示す」活動であり、「米軍は国際法の範囲内であればどこであれ飛行し、航行し、任務を遂行する」とした。
東部戦区報道官も同日、米軍艦の台湾海峡の航行に言及し「米国が台湾海峡の緊張を意図的に高めており、部隊は常に厳戒態勢にある」と牽制した。
東部戦区は4月中旬にも日本海や台湾周辺で軍事演習を行なっている。同区報道官は相次ぎ米議員団が訪台していることから「米国が台湾について頻繁に誤ったシグナルを送っている」ことに対する対抗措置だとした。その約一週間後の4月26日、米海軍誘導ミサイル駆逐艦「サンプソン」が台湾海峡を航行している。
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