中国学者「指導部はアントグループの影響力に怯んだ」 上場中止めぐり

2022/06/06
更新: 2022/06/06

中国の経済学者である李稲葵氏は、昨年、電子商取引最大手アリババ集団傘下の金融会社、アントグループに対する中国指導部の締め付けを巡って、同社は複雑な人脈を持っており、強い政治的影響力を持つことに最高指導部は「怯んでいた」と明かした。

シンガポールの中国語紙・聯合早報によると、李氏は3日にオンライン形式で「大華民間銀行2H 2022投資フォーラム」に参加した際、中国のインターネット規制問題について発言し、アントグループに触れた。

李氏によると、2020年11月初め、指導部が香港と上海の両株式市場への上場計画を急遽差し止めた原因は、同計画に多くの政府高官とその家族が関わっていたことにある。一部の都市では、次期トップ(省・市の共産党委員会書記)として指導部に期待されている高官も参与していた。

李氏は、現在インターネット企業による中国政治への影響は完全に消えたと述べた。指導部はIT企業への規制を今後緩和するという。

同氏は人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の元委員で、現在は清華大学経済管理学院の教授や、政府の諮問機関である全国政治協商会議の委員を務めている。中国指導部の経済政策会議に複数回参加したことがある。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は21年2月の報道で情報筋の話として、習近平政権はアントグループの主要株主の中に江沢民派がいることを警戒し、上場計画を中止したと報じた。同紙はアントグループが共産党内の権力闘争に巻き込まれたとの見方を示した。

張哲
張哲
関連特集: 中国