米国保健福祉省監察総監室(HHS-IG)の調査により、米国立衛生研究所(NIH)が研究助成金を提供する約7割の機関が、研究者の外国政府または外国企業などとの関係を適切に報告していなかったことが明らかになった。
HHS-IGはNIH が助成金を提供する研究者の海外資金援助に関する情報開示の実施状況について773機関を調査し、617機関が回答した。
報告書によると3分の2以上の機関が、研究者が海外の金銭的利益や支援をすべて開示するための要件を1つ以上満たしていなかった。海外からの事業投資や現物支給、職業上の提携、海外の人材育成プログラムへの参加が開示されていなかったという。
さらに「10%の研究機関は、海外からの資金提供が利益相反を引き起こす可能性があるかを判断するために必要な審査を行っていなかった」と指摘した。また、研究機関の37%は研究者の資金援助が外国政府・企業から提供されたかどうかを区別していないとも付け加えた。
NIHの年間研究予算額は約420億ドルに上る。うち約300億ドルは、アレルギーやウイルス、遺伝学など、主要分野で生物医学研究を行う5万6000以上の研究機関に配分されている。
HHS-IGは報告書のなかで「これらの研究機関の一部の研究者が、外国団体(外国政府を含む)からの資金提供を開示しなかったことにより、NIHが支援する研究の公正性に対する脅威が懸念される」と指摘した。
医学研究の安全性に対する脅威
HHS-IGの報告書は、匿名の外部企業がNIH職員や研究者に対して2010年から2020年にかけて、3億5000万ドルを支払らっていたとの大紀元の報道を背景に作成された。
これらの情報は、米シカゴを拠点とする非営利の政府監視機関「openthebooks.org」が、情報公開法 (FOIA) に基づく訴訟を通じて入手した文書とデータに基づいて明らかになった。NIHは依然として、個々の従業員に支払われた具体的な金額や支払先の開示を拒否している。
同監視団体のアダム・アンドレイジェフスキー代表は、HHS-IGの報告書がNIHの透明性と説明責任の欠如に対する懸念を増幅させるものだと大紀元に語った。「ここでの懸念は、米国の生物医学研究の完全性と安全性に対する外国からの脅威についてだ。コンプライアンスを報告しなければ、外国の腐敗の規模を知ることはできない」。
「適切な報告とデータがなければ、米国の知的財産がどれほど盗まれる危険があるのかを知る術はない」と付け加えた。
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