ドイツ、マスクや医薬品の不足に直面 中国へ過度の依存で

2022/07/25
更新: 2022/07/25

6月以降、感染が再拡大しているドイツでは、マスクなどの防疫物資や医薬品が不足する事態に直面している。この事態を招いた原因について、専門家は「ウクライナ戦争による影響のほか、中国などへの過度の依存」を挙げている。ドイツ国際放送ドイチェ・ヴェレ(DW)18日付が報じた。

現在、ドイツの店頭で販売されているマスクのほとんどは中国製。マスク製造産業協会は、遅くとも2025年までには「マスクの国内生産は終了する」としている。

報道によると、感染拡大が最も深刻だった2年前もマスク不足の問題に直面していたが、当時は中国からの輸入品への依存度を下げるため、政府が補助金を支給する方針を打ち出したので、約150の企業がマスクなどの防護用品の生産に乗り出していたという。

しかし、ドイツ製マスクは中国製と比べ、製造コストが高い。ドイツ製のFFP2マスクの生産コストは約0.35ユーロ(約49円)であるのに対し、中国製は約0.12ユーロ(約17円 + 送料加算)だ。病院や政府などによる大量発注の場合、価格が決め手となることが多い。

マスクに限らず、病院で使用する縫合糸やカニューレなどの手術用品および子供用鎮痛剤、喘息用スプレー、降圧剤、麻酔薬、抗うつ薬などの医薬品も、中国のサプライヤーに依存しているという。

ドイツの公共放送局、第2ドイツテレビ(ZDF)はこのほど、「抗生物質に対する中国への依存は、ガスに対するロシアへの依存と同じだ」と指摘した。

「医薬品のサプライチェーンをヨーロッパに戻せるなら一番いいが、時間もコストもかかる」と考える専門家がいるいっぽうで、「サプライチェーンを戻す必要はない」という声もあがっている。

ジェネリック製薬会社16社で作る団体「Pro Generika」の最高経営責任者(CEO)であるBork Bretthauer氏は医薬情報誌のインタビューで、「医薬品の生産を完全に欧州に戻すことは非現実的であり、そうする必要もない」とする考えを述べた。

Bretthauer氏は、「原料や医薬品のほとんどがヨーロッパ以外の国で生産されるのは必ずしも問題ではない。一番の問題は、生産が中国やインドなどの一部のメーカーや地域に集中していることだ。それが原因で高リスクと高依存を生み出している」と指摘した。

同氏は解決策として、「特に、抗生物質や集中治療に必要な医薬品など重要な原材料の生産拠点を分散し、ジェネリック医薬品を製造するよう製薬会社を促すことだ」と提言した。

(翻訳編集・李凌)