[1日 ロイター] – 訪米中の岸田文雄首相は1日、ニューヨークで開幕した核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で演説し、世界の若い世代に戦争被爆への理解を深めてもらうため、国連に1000万ドルを拠出して基金を創設すると表明した。
被爆地・広島出身の岸田首相は核軍縮をライフワークとしており、核保有国のロシアがウクライナに侵攻する中、日本の首相として初めて同会議に出席。NPT体制を維持・強化することは国際社会全体の利益であると強調した。
拠出した資金で国連に「ユース非核リーダー基金」を創設する。岸田首相は「未来のリーダーを日本に招き、被爆の実相に触れてもらい、核廃絶に向けた若い世代にグローバルなネットワークを作っていく」と述べた。「核兵器のない世界」に向けた国際的な機運を高めるため、各国の政治リーダーの関与を得ながら、「国際賢人会議」の第1回会合を広島県で開催することも表明した。
岸田首相は、ロシアによるウクライナ侵略の中で核による威嚇が行われるなど「核兵器のない世界」への道のりは「一層厳しくなっている」と指摘。核兵器不使用の継続の重要性を国際社会で共有すべきだと訴えるとともに、核兵器国に核戦力の透明性向上を呼び掛けた。
核兵器数の減少傾向維持に向け、包括的核実験禁止条約(CTBT)や核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の議論も活発化させる方針を示した。CTBTを促進する機運を醸成するため、岸田首相は9月の国連総会に合わせて首脳級会合を主催。FMCTも交渉の早期開始を改めて呼び掛ける。
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