国際議連、中国軍事演習に強い懸念表明 台湾に対する圧力は「常態化」

2022/08/11
更新: 2022/10/04

米欧日など主要国議員が加盟する国際議員連盟「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)は9日付の声明で、台湾海峡における中国の軍事的な脅威が増長していることに対し強い懸念を示した。台湾外交部は同日、中国軍の演習はペロシ米下院議長の台湾訪問を口実にしており、台湾侵攻を想定した訓練だとして強く非難した。

ペロシ氏は2日から3日にかけて台湾を訪れ、蔡英文総統と会談した。中国共産党はこれに対し強く反発、4日から7日に実弾演習を行うとした。この期日以降も周辺地域の演習を続けており、中国軍は台湾に対する軍事圧力の常態化させる方針を示している。

「IPAC(対中政策に関する列国議会連盟)」は中国軍による実弾演習や作戦機の挑発的な飛行を取り上げ、中国軍の行動はここ数十年で最も挑発的であると指摘した。中国軍が発射した弾道ミサイルが台湾上空を通り過ぎ、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したのは今回が初めてであると述べた。

IPACは、中国軍の無責任かつ危険な行為は「無謀な軍事的エスカレーション」であり、台湾及びその周辺国に対して経済的な圧力を行使する意図があると非難した。そして、議会間交流に対して軍事的対応をとるのは「度が過ぎており、正当化し得ない」と強調した。

ペロシ氏台湾訪問を口実にした軍事訓練=台湾外交部長

台湾の外交部(外務省に相当)は同日の記者会見で、中国の軍事演習は台湾侵攻を想定したものであり、重大な国際法違反でもあると強く非難した。

呉釗燮(ご・しょうしょう)外交部長は、中国は演習を利用して、ミサイル攻撃やサイバー攻撃、情報戦などを織り交ぜた台湾侵攻シナリオの実演をしていると指摘した。中国軍の弾道ミサイル発射については、他国の介入を防ぐための「接近阻止・領域拒否」(Anti Access/Area Denial,A2/AD)戦略の訓練であるとし、西太平洋地域における地政学的野心の現れだと述べた。

呉氏は、中国がペロシ氏の訪台を軍事演習を行う口実に利用したと主張した上で、演習は「重大な国際法違反である」と強く非難した。インド・太平洋地域における安定した秩序と自由で開かれた国際貿易が脅かされていると述べ、民主主義国家の団結を促した。

なお、台湾方面を担当する中国軍東部戦区は10日、「戦争準備を継続し、台湾海峡方面への警戒活動を常態化させる」と発表し、軍事的関与を常態化する方針を打ち出した。

王天雨
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