「小粉紅」洗脳と真実の波間でゆれる漂流者【現代中国キーワード】

2022/09/14
更新: 2022/09/17

小粉紅(しょうふんこう)】
「小粉紅」とは、1990年代以降に中国で生まれた世代に多く見られる「不安定な民族主義者」を指す。

「不安定な」とつけた理由は何か。それを端的に言えば、彼らは思考が混乱しているからである。つまり、意識のなかで、中国と中国共産党が区別できていないのだ。

彼らにとって自己陶酔感のある「愛国」は、中国共産党への支持と不可分のものになっている。彼らは、毛沢東が8000万の自国民を死なせた事実を知らない。「文革は間違いだったが、それは四人組が悪いからだ」。学校で彼らは、そう教えられてきた。

一方、現実の中国社会は、純粋な若者には目も当てられないほど腐敗している。

そんな彼らにあるのは、被害妄想的な意識だけである。
米国も日本も「中国の発展を妨害する敵」にしか見えない。それゆえに彼らは、トランプ前大統領や安倍晋三元首相を憎悪して止まないのである。反日デモのとき、中国人が所有する日本料理店や日本車を破壊したのは、そうした「小粉紅」の錯乱した感情であった。

一方、彼らの心はガラス細工のように、もろい。そのため、中国に対する海外からの批判は、全て「中国への悪意ある誹謗中傷」とみて拒絶する。そこには、肥大化した民族的自尊心はあっても、冷静かつ客観的に自国の問題を考える余裕はない。

しかし今日では、海外のネット情報から断片的に伝わる真実もある。洗脳と真実の波間に漂流する「小粉紅」は、まだ安定できる陸地を得られていない。