安保理、「併合」非難の決議案否決 ロシアが拒否権

2022/10/01
更新: 2022/10/01

[ワシントン 30日 ロイター] – 国連安全保障理事会で30日、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東・南部4州の併合を宣言したことを非難する決議案がロシアの拒否権行使により否決された。

決議案は米国とアルバニアが提出。30日午後の採決では、米英を含む10カ国が賛成票を投じた。中国、ガボン、インド、ブラジルは棄権した。

反対票を投じたのはロシアのみだった。

ロシアのプーチン大統領は30日、ウクライナの領土の15%相当する東・南部4州の併合を宣言した。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は安保理で、ウクライナ領土の変更を認めず、ロシアに軍撤退を求める決議案を提出。主権国家の領土併合を目指す行為は国連設立の原則に反するとし、プーチン大統領が「明確な国際法違反」を祝っていると非難した。

プーチン大統領はモスクワ中心部の赤の広場で開催されたウクライナ東・南部4州併合を祝うテレビ中継のコンサートで、ロシアがウクライナにおける「軍事作戦」で勝利すると誓った。

安保理で拒否権を行使したロシアのネベンジャ国連大使は、ウクライナ東・南部4州がロシア編入を選んだと主張し、「決議案が要求しているように後戻りすることはない」と述べた。

中国の張俊国連大使は「全ての国の主権と領土は守られるべき」としつつも、各国の「正当な安全保障上の懸念」は真剣に受け止めるべきと主張した。また、ウクライナの「危機の長期化と拡大」について懸念を表明した。

安保理での採決に先立ち、ブリンケン米国務長官は、ロシアの拒否権行使によって決議案が否決されれば、「全ての国が投票権を持つ国連総会に対し、力による国境線の引き直しは容認できないことを明確にするよう要請する」という考えを示していた。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。