ゲイル・セイラー氏は、2021年12月3日、新型コロナウイルス感染症治療のために入院した。しかし、主治医がゲイル氏に病状が末期である事実を伝えたその約1週間後、夫のブラッド・セイラー氏は入院していた病院の裏口から、彼女を車いすで運び出した。
「残念ですがセイラーさん、あなたは助からないのです」。12月5日に主治医が言った言葉を彼女は覚えている。
12月15日、病院スタッフの抵抗にあいながらも、ブラッド氏は夫婦で暮らすテキサス州プレイノにあるメディカルシティ・プレイノ病院からゲイル氏を連れ出した。
ゲイル氏は、新型コロナウイルス感染症病院治療の治療実施計画書(プロトコル)の内情について、その目撃談を生き延びて話す、数少ない患者の一人だ。
ゲイル氏はエポックタイムズに「患者はコロナで亡くなっているのではなく、これらの治療計画(プロトコル)によって亡くなり続けていることが明らかになった」と語った。
彼女はthe Front Line COVID-19 Critical Care Alliance (FLCCC:COVID-19 の救命救急の最前線にいる医師たちのアライアンス)を通じて処方された、イベルメクチンとブデソニドを使用する初期治療プロトコルを受けるという申し出により、モノクローナル抗体注入を受けるため入院した。
しかし、彼女がワクチン未接種だと病院スタッフが知ると、「全体の雰囲気が変わった」と言う。
「私は直ぐに自らの医療方法について主張する権利を失いました」
「死ぬためにここに来たのではない」
26時間後、ようやく集中治療室(ICU)のベッドを得たが、家族は誰も面会を許されなかった。
「予防接種を受けていないので、あなたは助からない」と告げたジャン・ クアック医師に、彼女はここで会った。
「私は彼に『死ぬためにここに来たのではない』と言いました」。
腎不全を引き起こすことで知られているレムデシビルを服用するよう、クアック医師はゲイル氏に強く勧めた。彼女は何度も担当医を他の医師に変えて欲しいと頼んだが、彼女の願いはかなえられず、彼は彼女の治療担当となったという。
2018年、当時のドナルド・トランプ大統領は、生死に関わる疾患を持ち、全ての選択肢を使い果たしてしまった患者に、特定の未承認の治療を許可するRight-to-Try Act連邦法に署名した。
そのため、クアック医師により末期と診断されたので、新型コロナウイルス感染症治療のFLCCCプロトコルを試すことができるはずだったが、病院側はそれらの治療を認めなかったと言う。
さらに、クアック医師は彼女の最後の典礼を執り行う司祭に会う権利さえも彼女に認めなかった。
そこで、彼女はクアック医師と取引をした。
彼女は、司祭に会わせてくれるという条件で、レムデシビルによる治療を受けると言ったところ、クアック医師は同意し、彼女は司祭に会うことを許された。
「しかし、私たちはレムデシビルを拒否しました」と彼女は言う。「彼らは憤慨しましたが、正直なところ私の魂のために戦っていると感じていました。司祭に会った後、私は絶対に生き抜く、殺されはしないという新たな感情が湧いてきました」
「私はDNR(蘇生処置拒否)ではないと毎日彼らに言っていた」
ゲイル氏によれば、彼女は毎日、クアック医師の担当を望まず、他の医師の診察に変えて欲しいと主張したが、変更されることはなかった。
そして、ゲイル氏の娘が病院のオンライン記録にアクセスし、ゲイル氏がDNR(Do Not Resuscitation:蘇生処置拒否指示)に分類されていることを見つけ出した。
「最も恐ろしいことは、私は毎日、彼らに私はDNRではないと伝えていたのに、彼らは私をDNRにしたことです」
ゲイル氏によると、病院のスタッフは、蘇生を受けるためには人工呼吸器を装着しなければならないと言ったが、これは死亡と同様の最終段階を意味するという。
レムデシビルで始まり、人工呼吸器で終わる新型コロナウイルス感染症の標準的な治療プロトコルは、メディケア・メディケイドサービスセンター(Centers for Medicare and Medicaid Services:CMS)からの多大な報酬で返済を受ける。それが病院が早期治療を避けながら、これらのプロトコルを使用し続ける理由であると多くの人が信じている。
9月7日、カリフォルニア州フレズノで開催された会議、「レムデシビルの死:画期的訴訟」で、2人の弁護士は、「インフォームド・コンセントなしにレムデシビルを使用し、不当な死を招いたとする3つの病院に対する訴訟」を公開した。
この訴訟では弁護士達が「レムデシビル・プロトコル」と呼び、患者が時折、新型コロナウイルス感染症とは無関係の疾患で入院し、新型コロナウイルス感染症または新型コロナ肺炎と診断されているという疑惑を扱っていた。
訴訟によると、患者は入院後、隔離され、栄養失調にされ、レムデシビルが唯一の治療における選択肢だと伝えられるという。
また患者は、圧力を利用してより高速で酸素を肺に送るBiPap(人工呼吸器)に繋がれ、手を縛られた状態によりそれを取り外すことができないと述べられていた。
そのプロトコルの最終段階は挿管であり、平均すると入院後9日で患者は死亡すると訴訟では語られた。
また、このプロトコルにより患者1人当たり最大50万ドルの払い戻しを病院が最終的に受けることも語られた。
「事態は悪化した」
ゲイル氏は、詳細にわたる体験談をFormerFedsGroup Freedom Foundation(FFFF:元連邦職員グループ フリーダム基金)の「COVID-19の人道に反する記憶プロジェクト(COVID-19 Humanity Betrayal Memory Project)」で語っている。
彼女は同組織のテキサス州議長となり、プロジェクトに文書化した事例を提供するため、自らの経験に似た話を収集した。
その組織ではまた、参加者が自己の事案を語ることができる、いくつかのオンラインサポートグループ会議を開催している。
彼らが呼ぶところの「死のプロトコル」治療により、家族を病院内で死亡させられたと語る多くの声が上がってきている。
彼らにとって愛する者の死は、運営面による残酷でありえない様な体験談を残すこととなった。
患者や家族に恐怖を感じさせることにより、腎不全などのリスクについて通知もせず、レムデシビルなどの治療を承諾させているという。
医師は、患者が酸素と安静を必要としているというが、その目的は多量の酸素を使用し、患者の肺を損傷させ、後に人工呼吸器が必要になるようにすることだと家族は報告している。
数多くの報告では、患者がBiPap(人工呼吸器)のマスクを外そうとすると、動揺しているとみなされ鎮静剤を投与され、基本的な栄養摂取、衛生状態、運動環境を得られない状況下で病院スタッフからされるがままになるという。
ゲイル氏を例にとると、彼女は栄養不足で脱毛となり、誰も彼女のBiPapマスクを外さなかったために鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれる真菌感染症を発症したという。
また、医師と看護師は彼女にベッドに座ることさえ許さなかったため、褥瘡(じょくそう:一般にいう「床ずれ」)ができ、最終的には歩くことさえできなくなったという。
ゲイル氏は、「トイレに連れてゆくことができない」と看護師に言われ、強制的にカテーテルを使用することになり、装着2日後に、そのカテーテルから別の感染症に感染したという。
「事態は悪化の一途をたどった」とゲイル氏は言う。「私の周り、他の部屋で患者たちが亡くなって行きました。正直それはかなり恐ろしかったし、その死までの時間が短いことも知っていました」
「妻をそこから絶対に連れ出す」
2021年12月14日、元看護師で米陸軍退役軍人のゲイル氏の夫ブラッド・セイラー氏は、病院内の妻の安否確認を依頼するためプレイノ警察署に電話をかけた。
警察官がゲイル氏を訪ねて病院に訪れたとき、ゲイル氏は自分の体験を彼に説明し、「彼らは私を殺そうとしている」と告げた。しかし、警察官は「私たちにはどうすることもできない」と言って病院を去ったという。
全ての選択肢を使い尽くした後、政治家に助けを求めていたブラッド氏とその娘は、ゲイル氏を病院から連れ出し家に戻す計画を思いついた。
ブラッド氏は、在宅相談サービスとリチャード・バートレット博士の治療プロトコル(ブデソニドの使用を推奨)の助けを借りて、酸素を準備し、薬を入手した。
12月15日、ブラッド氏は彼女に電話をかけ「そこから絶対に連れ出す」と伝えた。
ブラッド氏は、侵害停止要求状と、少なくとも1人の訪問者のアクセスを許可する患者の権利法案(テキサス州上院法案572と上院法案2211) を持参し病院に到着した。
テキサス州の法案は、新型コロナウイルス感染症パンデミックなどの有事に、聖職者の面会を含む病院の面会拒否を禁止している。
いっぽう、クアック医師はその法案の、「医師は5日間の間、面会者を1人にすることが可能であり、それは更新ができる」という抜け穴を見つけた。
しかしゲイル氏は、「それはクアック医師が私を孤立させるためにしたことです。そうだとしても彼はその法案を破っている。私は訪問者を1人も許されなかったからです」と語った。
ボブ・ホール州上院議員によって書かれた上院法案は、精神カウンセラーの面会を認めている。
「これは家族も含むと書かれており、その理由で夫ブラッドがこの法令を使って自分自身を家族の精神的リーダーとして法に訴えた」とゲイル氏は語った。
「この先公聴会があることを期待しています」
ゲイル氏の病院への治療に関する請願に関わったホール氏は「政府による医療行為の強要」に真っ向から反対している。
2022年6月、保健福祉省テキサス州上院委員会は公聴会を開催し、パンデミック下の医療制度に関する家族の経験について当該家族が証言した。
ホール氏は、エポックタイムズの取材に答え「個々の証言を委員会が聴いた後の、さらなる公聴会開催に期待をしている」と述べた。
またホール氏は、「患者と医師は、政府の義務化した手順に異論がある場合は、脅迫や圧力を恐れることなく、治療プロトコルに関しての決断ができるようにしなければならない」と指摘する。
ホール氏によれば、ゲイル氏の夫と娘の粘り強さが、セイラー氏の命をぎりぎりのタイミングで病院から救い出したという。
ゲイル氏が前述したことと同様に、ホール氏は「メディカルシティ・プレイノのような病院では、より多くの患者が、新型コロナではなく病院の方針のために亡くなっている」と述べた。
メディカルシティ・プレイノの広報担当者は、エポックタイムズの取材に対し、「この地域の他の病院と同様に、当院は多様な訓練と経験を活かし患者の要望を見極め、治療方法を決定する有資格で独立形態の医師を信任し、患者の皆様に最善のケアを提供するための最新研究を含む情報と資料を彼らに提供し支援をしています」と述べている。
新型コロナウイルス感染症パンデミックの残した多くの結果の中で、最も有害なものは、医療従事者の「最善のケア」への信頼の崩壊だとホール氏は述べた。
ホール氏は、「パンデミックは、近代の病院では見たこともない数多くの愚策と愚行を誘発した。患者は家族や愛する人たちから隔離され、同意なしに医療プロトコルを受けるよう脅迫され、または強いられ、場合によっては完全に放置された。政府が義務化したプロトコルは、患者にとって良いどころか害を及ぼし、不信感を募らせ、火に油を注いだ」と語った。
「あなたたちの手によって死ぬことを確信している」
ブラッド氏は病院に到着時、これ以上無いほど不信感を抱いていた。そして警備員に追われる中、なんとか集中治療室に突入したとゲイル氏は語った。
ブラッド氏はスタッフに帰るよう言われると、「あなたたちには、私の妻を殺させはしない。私は彼女を家に連れて帰る」と言った。
それからは、彼らを助けはしないが、夫を帰らせようとした6人の警察官との、まさに終日の人質交渉のようになったという。
ホール氏が加わり、ブラッド氏に「警察官に逮捕されても抵抗しないように」と言った。その間、「一緒に病院から去るならば死ぬことになるだろう」と医師の1人にゲイル氏は言われた。
ゲイル氏は「もし私が今夜死ぬのなら、ここで死ぬよりも、ここからブラッドに連れ出してもらいたい。ここに居ればあなたたちの手によって死ぬことは分かっているから」と医者に言ったという。
ゲイル氏は医学療法が十分ではなく足が不自由になったため、車椅子が必要だった。
最後に荷物をまとめ病院を出る準備ができた時、病院の看護師が「近道」と呼んだ通路へ案内し、そこを通って外へ出た。後で分かったことだが、葬儀社が遺体を引き取る遺体安置所の通路を通らせたのだった。
「それは私達へのメッセージだったのでしょう」とゲイル氏は語った。
「医療における鋳型」メディカル・マトリックス
医師がブラッド氏に、彼の妻が病院を出れば24時間もたないと忠告したのにもかかわらず、彼女は自身の体験を話すべく今日も生きている。
ゲイル氏は自宅での治癒は楽なことではないと語る。それはウイルス自体よりも病院での体験からの回復の難しさを意味していた。
そうは言いつつも、彼女の命を救ったのはバートレット氏の治療だったと彼女は語った。
「彼の療法は全て効いていて、容態は直ぐに良くなりました」
セイラー夫妻は、その後、調査を実施するため保健福祉省(HHS)に連絡をとった州議会議員に接触した。
HHSは病院を調査した。しかしその結論は、「病院は素晴らしい仕事をした」というものだった。
ゲイル氏は、「誰からも(調査のための)連絡はなかった。また私達の医療記録も確実に見てはいないはずだ。なぜなら病院で私がDNR(蘇生処置拒否指示)では無いと何度医師に伝えてもDNRとされてしまった。これは違法行為なのに」とゲイル氏は言った。
セイラー夫妻は、自分たちの体験を誰かに話しても信じないだろうと思っていたが、ポッドキャストやラジオのインタビューで語り続けるにつれ、自身の経験を分かち合うために連絡をとってくる人々が増えてきた。
ゲイル氏は病院を脱出することができ回復もしたが、他の人々の話の多くはハッピーエンドではなく、それらの家族は病院で何が起こっていたのかを知った時に罪悪感に苛まれているという。
ゲイル氏によると、大半は患者の死亡で終わっており、家族は全てが終わった後に情報操作されたことに気付かされるという。
「私達が知り得た事とは、医師たちは患者に正直ではなく、彼らに害を与えられていると知った時には、害を被っただけではなく情報操作もされ、その状況からただ離れることも許されないという事実です」とゲイル氏は述べた。
「高い値の酸素吸入を受け、病院を去るなら助からないと言われます。挿管された場合、唯一立ち去る方法は別の病院に移送されることです」
「患者は通常、自身の治療方法に意見したり、推奨される治療を断る権利さえ持っていますが、新型コロナウイルスの緊急事態宣言下で、病院従業者は患者に対する歴史上初の権限を与えられました」とゲイル氏は述べた。
時には、患者はインフォームド・コンセントで同意していないだけではなく、書面で拒否をしているのに、レムデシビルや他の薬を投与されているのだという。
この事態への出し抜き行為が病院で行われいるのにもかかわらず、ゲイル氏の夫と娘は、ホール氏とアレン・ウェスト中佐とのネットワークを通じて、この事案に十分な注目を集めることができたとゲイル氏は語った。
ウェスト氏も同病院で治療を受けており、ホール氏と同様にセイラー夫妻の代理として病院に何度か電話をした。ゲイル氏は、このことも病院側が最終的にブラッド氏に彼女を連れ帰ることを黙認しなければならなかった要因になったのでは?と思っていると述べた。
セイラー夫妻はまた、病院のプロトコル事案についてのクライアントを受け持つテキサス州フリスコに拠点を置く法律事務所「Paul M. Davis & Associates」の助けも受けた。
同事務所によると、病院から簡単に出ることができたケースもあったが、稀だという。
「一度入院すると、医療における鋳型(メディカル・マトリックス)に入れられ、たった一つの出口は死を通じてか、もしくは誰かに連れ出してもらうしかない」とゲイル氏は語る。
今日、自らの使命は、自分や他の元患者の体験を共有し認識を広めることだとゲイル氏は言う。
「目標は人々を病院から遠ざけることです。なぜなら、実際これらの現状は病院によるホロコーストだからです」。
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