米政府は、国家安全保障上の懸念を理由に、中国への先端半導体技術の輸出制限を一段と強化した。12日に発効した新措置は、米国人技術者に対して中国の半導体生産・開発への関与を禁じた。中国の半導体企業で幹部を務める数百人の中国系米国人技術者は、国籍かキャリアかの選択に直面している。
バイデン政権は7日、米国の半導体技術への中国のアクセスを制限するための輸出規制を発表した。中国にある半導体製造施設で、米国人がライセンスなしに集積回路の開発、または製造をサポートする能力を制限すると規定した。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などは商務省元幹部の話を引用し、新規制は米企業だけでなく、米国のパスポートやグリーンカード(永住権)を持つ人を初めて対象に指定したとの見方を示した。中国企業に在籍する中国系米国人は、今後も勤務を継続するなら、米国籍や永住権を放棄しなければならない。
中国半導体企業には数百人の中国系米国人技術者がいる。専門家らは、米国の規制強化は中国の先端半導体技術に大打撃を与えるとした。
いっぽう、ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、新規制が発効された12日、中国半導体大手の長江存儲、上海集成電路研発中心、長鑫存儲などの米国人従業員の大半が退職願を出した。
江蘇省の半導体企業関係者はRFAに対し、「中国の半導体企業の上級幹部や研究者はほぼ留学から帰国した者だ。彼らは米国籍に帰化し、あるいはグリーンカードを持っている。国籍か(中国での)キャリアかの選択を迫られた時、彼らは米国籍を選んだ」と述べた。
中国の半導体製造装置メーカー、中微半導体設備(AMEC)創業者で最高経営責任者(CEO)の尹志堯氏は米国籍を保有し、米インテルなどに勤めたことがある。
同関係者は、米国籍を保有する幹部らの辞職は、中国の半導体企業の存続に関わるとした。
オランダの半導体製造装置メーカーASMLは12日、バイデン政権の新たな対中規制を受け、米国内の従業員に中国へのサービスを停止するよう求めた。
ブルームバーグによれば、ASMLは米従業員に宛てた電子メールで「米国民、永住権保有者と米国在住の外国人を含むすべての従業員が対象だ」と強調した。
米メディアによると、米半導体製造装置メーカーのラムリサーチ(Lam Research Corp)なども中国の長江存儲に派遣した社員を引き上げることに着手した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。