英ロンドンに拠点を置く人権団体、香港ウォッチ(Hong Kong Watch)がまとめた最新報告書は、香港特別行政区政府が日米英など14カ国に設置した経済貿易代表部(HKETO)は現在、中国政府の在外公館としての役割を果たしていると指摘。
香港ウォッチは、各国に対してHKETOの特権を廃止し、新しい事務所の開設を承認しないよう呼びかけている。
HKETOは海外企業の香港での事業拡大を支援するために設置された機関。近年、香港の中国化につれ、HKETOは中国の「戦狼」外交官のように好戦的となり、海外メディアで香港における中国政府の統治強化に関する報道に反論するようになった。
香港ウォッチの報告書によると、中国政府の支配下にあるHKETOはすでに自主権を失い、香港が中国の「グレーターベイエリア」の一部だと宣伝し、北京の意向に沿う形で活動している。
報告書は、香港の行政、立法、司法は中国政府の全面的な支配下に置かれているとした。HKETOも例外ではなく、中国大使館のように中国政府の指示に従い、中国政府や香港政府の人権侵害問題に関して「(中国側を)美化している」という。2021年、米国の香港人権民主主義法に対抗するために、駐ワシントンHKETOは8400万香港ドル(約16億円)を投じロビー活動を行った。
また中国の公館が開設されていない一部の国では、HKETOが公館に準ずる特権と待遇を受けている。
報告書の作成責任者を務める香港ウォッチの政策顧問、アヌーク・ウェア(Anouk Wear)氏は14日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、「HKETOは、香港における中国政府の人権侵害問題について嘘の宣伝を行い、中国大使館とともに中国側の代弁者として活動している」と述べた。
ベルギーの首都ブリュッセルにあるHKETOと中国の駐ベルギー大使館は、「欧州連合(EU)にとって、実に両方とも中国の代理人だ」とウェア氏は語った。同氏は、HKETOは香港市民ではなく、「間接的に中国共産党を代表しているため、各国政府はHKETOの役割、HKETOへの特別な待遇を見直す必要がある」。
報告書は、各国政府は中国の諜報活動の拠点と指摘される「孔子学院」への対応を参考にし、HKETOとの協力関係を停止するよう呼びかけた。
カナダ紙グローブ・アンド・メールは、同国の駐中国大使を務めたガイ・セイント・ジャック(Guy Saint-Jacqaues)氏の話を引用し、HKETOは中国政府に全面的に支配されているため、「その駐トロント代表部を独立機関として見なしてはいけない」と伝えた。
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