世界最大級のオープンアクセス出版社「ヒンダウィ(Hindawi)」は9月28日、「非倫理的行為」を理由に500本以上の論文を撤回すると発表した。同出版社は、一部の論文について不正が疑われるとして、4月から調査を進めていた。
ヒンダウィは声明のなかで、調査チームが6月に一部の論文の査読プロセスにおいて「不正」を確認したとして、16誌のジャーナルに掲載された511本の論文を撤回すると述べた。論文はすべて2020年8月以降に掲載されたものだという。
学術論文の撤回の分析などを行うリトラクション・ウォッチ(Retraction Watch)によると、撤回される論文には複製されたテキストや、出版社が査読者候補を審査するために使用するデータベースの不正使用などが確認された。また、査読者と編集者が連携して論文を出版まで進める「連携した不正な査読グループ」も発覚したという。
ヒンダウィの米国親会社であるジョン・ワイリー・アンド・サンズ社の上級副社長リズ・ファーガソン氏は「こうした取り組みやそれに参加する個人は、科学的発見を妨げ、学術研究の妥当性に影響を与えるものであり、決して許されることではない」と述べた。
一方で、ファーガソン氏は撤回される論文に関わった著者や編集者の中には、不正行為に無意識に加担した者もいる可能性があるとしている。
調査チームは、現在も調査を続けており今後さらなる論文の撤回が予想される。
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