中国共産党の習近平総書記は16日、第20回党大会で活動報告を行い、ハイテク分野で「人材強国」戦略の実施を深化し、国内外から優秀な人材を招致すると改めて示した。米専門家は、米政府が中国への人材流出を防ぐためにより多くの措置を講じる可能性があると示した。
習近平氏は報告で、米政府が中国に対する半導体や製造装置の輸出の全面規制に乗り出したことを念頭に、「重要な中核技術を巡る戦いを断固として勝ち抜く」とした。この目標を実現するために「人材強国戦略の実行を深化し」、「より積極的、よりオープンで、より有効な人材政策を実施する上、人材獲得を巡る国際競争で優位に立つべく努力していく」と述べた。
中国共産党が党大会を開く1週間前に米政府は、米国人技術者に対し、中国の半導体生産・開発への関与を禁止した措置を打ち出した。
米政府は、中国が米国の技術を軍事工業の近代化や兵器開発、人権侵害に利用すると懸念を強めている。
米シンクタンク、情報技術・イノベーション財団(ITIF)のロバート・アトキンソン(Robert Atkinson)代表は大紀元の取材に対し、米政府は現時点で、半導体研究者らの中国への流出に対応し始めたが、「今後さらなる人材流出を阻止するために、より多くの措置を打ち出す可能性がある」との見方を示した。
米市民団体「コミッティ・オブ・ハンドレッド(Committee of 100)」は昨年、米国人科学者2000人を対象に意識調査を行った。これによると、23%の中国系科学者と10%の非中国系科学者が中国側との交流をやめると決心した。
アトキンソン氏は、中国の今の政治環境では海外のSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の人材を勧誘するのは難しいと指摘した。「中国が海外の人材を誘致する主要方法は補助金を提供することである」とした。
中共ウイルス(新型コロナウイルス)の封じ込め政策「ゼロコロナ」は中国政府の海外人材誘致を阻んでいる。
中国に進出する欧州連合(EU)の企業から構成する「中国EU商会」の最新調査報告書によると、58%の欧州企業は中国国内と海外の人材採用において、大きな困難に直面していると不満をあらわにした。中国政府の都市封鎖(ロックダウン)、移動制限、感染対策の一環としての入国規制、ビザ取得を巡る政策の変化などが主因だという。
中国政府は過去20年間、国内外の人材誘致に力を入れてきた。2019年に米上院で公表された調査報告書によると、中国政府は200以上の人材招致計画を行っていた。その中で最も知られているのが海外の優秀な人材を集める「千人計画」だ。中国政府は08年に同計画を実施し始めた。
近年米国では、「千人計画」に参加した米国人研究者などが米国で獲得した先端技術情報や研究成果を中国の研究機関などに無断で渡し、また「千人計画」に参加したことを勤務先に報告せず、米中双方の政府から研究助成金を不正に受け取っていることが、大きな問題になっている。
米司法省が摘発を強化したことで、20年以降、中国インターネット上では、「千人計画」「千人」が検閲対象ワードとなり、関連投稿や報道記事が表示されなくなった。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。