オーストラリアの研究機関が日米豪で行った最新の世論調査では、台湾有事の際の派兵について、いずれの国でも賛成が反対を上回る結果となった。中国共産党の脅威について共通認識を持ち、相互の信頼関係もさらに高まっていることも明らかになった。
シドニー大学米国研究センターは9月5日から9日にかけて、日本、米国、豪州の居住者それぞれ約1000人を対象に、3か国が直面する地政学的課題について世論調査を行った。
「中国が台湾に侵攻した場合の政府の対応」に関する質問では、豪州の回答者の46%が、米軍の台湾防衛を助けるための派兵に賛成するとし、そのうち18%は強く賛成するものだった。いっぽう、反対は25%で、そのうち9%は強く反対した。
台湾防衛のための自衛隊派遣については、日本の回答者のうち賛成は35%、反対は29%となった。なお、自民党支持者の賛成率は立憲民主党支持者よりも高く、44%の回答者が賛成だった。
米国では派兵に対する賛成の回答は33%、反対派31%と拮抗した。
中国に対する否定的な見方が高いことも分かった。中国はアジアにおいて有害な存在であるとの回答は、日米豪でいずれも5割を超えた。また、米国の対中姿勢は軟弱すぎると考える米国人は46%に上った。
米国との同盟は自国の安全に有益だと考える割合は、日本人回答者で57%、オーストラリア人回答者で63%に上った。また、オーストラリア人の27%、日本人の5%が駐留米軍の増員を望んだ。
台湾侵攻が発生した際、西側諸国はウクライナを侵攻したロシアに対して制裁を行なったように、中国にも経済制裁を科すべきかについても問うた。その結果、オーストラリア人の賛成は61%、米国は65%、日本は51%と、いずれの国でも過半数となった。
中共、台湾侵攻で不満を逸らすか
調査結果が公表される数日前まで、中国では5年に一度の第20回中国共産党大会が開催されていた。習近平国家主席は、台湾「統一」を達成させるために、武力行使の放棄を約束しないとした。
異例の3期目突入を果たした習近平氏は開幕式で、党大会出席者らに向けて、「我々は、軍隊の使用を放棄する約束は断固としてせず、あらゆる措置をとる用意をする」と述べた。
中国経済アナリストのアントニオ・グラセフォ氏は21日、大紀元の姉妹メディア「新唐人テレビ(NTDTV)」の取材に対し、習近平氏は混乱する自国経済への不満を逸らすため、党大会終了後に台湾侵攻を決行する可能性があると指摘した。
「彼(習近平氏)にできることはもうない。あれほどまでに傷んだ経済を立て直すことは不可能だ。パンデミックも続いている。私は、彼が党大会後に台湾侵攻に動きかねないことを非常に懸念している」
また、「彼らは戦争さえ始めてしまえば、すべての問題を戦争へと転嫁できる。そうして、経済危機の責任は習近平氏ではなく、戦争へとすり替わる」と、中国の動きを警戒した。
こうした状況を受け、日本の岸田文雄首相とオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は22日、パースで開かれた日豪首脳会談で日豪安全保障協力共同宣言に署名した。台湾海峡の緊張度が増すなか、国家安全保障を脅かす不測の事態に対する両国の協力が念頭に置かれている。
岸田首相は豪州訪問前の会見で、オーストラリアは「日米豪印といった同志国連携の中にあっても、中核となる特別な戦略的パートナーであると認識をしています」と述べ、日豪関係の重要性を確認した。
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