中国製薬大手の米土地購入「軍事転用の恐れ」フロリダ州知事が懸念表明

2022/11/07
更新: 2022/11/07

中国軍と関係があるとされる製薬大手ジョイン・ラボラトリーズ(北京昭衍新薬研究中心)が7月にフロリダ州に広大な土地を購入したことをめぐり、同州のデサンティス知事などは中国共産党の影響力の高まりを示していると懸念を表明した。

ジョイン・ラボラトリーズはフロリダ半島北部レビー郡に1400エーカーの土地を550万ドルで購入した。報道によれば、中国で動物実験用のサルの取引価格が高騰するなか、サルの飼育・検疫施設を建設するとしている。

デサンティス氏の事務所は、大紀元に寄せたメールのなかで「知事は一貫して、中国共産党がフロリダ州で影響力を強めることに反対している。この買収例は、まさに我々が禁止しようと取り組んでいる活動の典型例だ」と述べた。

中国企業による米土地購入が相次ぐなか、デサンティス氏は9月に中国共産党などの外国勢力による農地や軍事基地周辺土地の購入を禁止する法案を発表。

その際「中国企業は実際の価値よりもはるかに高い金額で土地を購入している」「民間企業として名を連ねている多くの(中国の)会社があるが、その裏をかくと、基本的に中国政府に支配されている」とその脅威に言及していた。

2021年07月03日、フロリダ州のロン・デサンティス知事 (Michael Reaves/Getty Images)

中国政府との結びつき

サル飼育施設の建設は工業用地でなければならないが、ジョイン・ラボラトリーズが購入した土地は林業や農業向け住居の地目が含まれる。レヴィ郡によれば、この地目の変更にはフロリダ州の審査が必要になるが、区画整理の要求があっても承認される可能性は低いという。

大紀元が郡当局に確認したところ、10月初旬時点ではジョイン・ラボラトリーズから正式な区画変更の要請はまだ受けていない。

同社をめぐっては、中国軍の結びつきから、同社による土地購入や実験動物の飼育は安全保障上の懸念が指摘される。

創設者兼会長の馮宇霞氏と共同設立者である夫の周志文氏は、中国軍の研究機関・軍事医学研究院(AMMS)を卒業後、AMMSの薬理毒物研究所などで勤務していた。米商務省は昨年、バイオテクノロジーで中国軍を支援しているとして、AMMSを輸出管理対象とする「エンティティリスト」に加えている。

スコット・フランクリン下院議員はこうした企業による土地買収について、米国は警戒心を持つべきだと指摘。「中国軍と関係のあるバイオテクノロジー企業に米国内における実験用サル飼育を許可するという考えは、全くの不可解だ。中国が新型コロナウイルスの世界的大流行を引き起こしたばかりだ…」と大紀元に語った。

「バイデン政権は中国共産党の関連企業が米国の土地を買い上げることを許可しているが、容認できない。もし大統領が米国の利益を守るために行動しないのなら、議会がそうするだろう」

軍事転用の恐れ

フロリダ州のみならず、ノースダコタ州でも中国企業による土地購入が物議を醸している。中国の化学調味料メーカー・阜豊集団(フフォングループ)は、ノースダコタ州のグランドフォークス空軍基地近くの農地を購入した。同社はこの土地を利用し、トウモロコシ加工工場を建設する予定だと主張している。

デサンティス氏はこの買収について「なぜ中国共産党はそんなことをするのか。もちろん、彼らは情報を得たいからだ。ここ米国で何が起こっているかを知りたいのだ」「この土地が諜報活動や軍事目的に悪用される危険性はある」と、9月22日、訪問先のマイアミ・デイド・カレッジで述べた。

また、例えトウモロコシ加工工場として機能するとしても、これらの中国政府と関係ある企業は、米国のサプライチェーンには必要ないと強調した。「米国は自国の製造能力を回復させ、他の国々と協力する必要があるのに、なぜ中国に頼る必要があるのか。(新型コロナ初期には)中国に支配され、重要な医療品の多くを手に入れられるかどうか、彼らのなすがままになっていたのに」

デサンティス氏はこの日、州議会と協力して、中国やロシアなど「懸念される国」が州内の軍事施設周辺の土地を購入する計画を阻止する法案を起草すると表明した。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。