【没有共産党就没有新中国】
たしか2002年9月だったかと思う。スポーツのアジア大会が韓国の釜山で開催された。
北朝鮮から「美女軍団」と呼ばれる大勢の女性応援団が、万景峰92号で送り込まれていた。
「統一しましょ」を不気味な笑顔でふりまいているうちは、まだ良かった。彼女たちが韓国国内をバスで移動中、はるか遠方の樹木に「金正日を批判する掛物」がかかっているのを見るや、笑顔だった車内は一変する。
一斉に騒ぎ立ててバスを止めさせ、全員がそれに向かって走り出したのである。「私たちが敬愛する将軍様を侮辱するものを、見過ごしにできない!」。大声で泣きわめきながら、我先に木に登って、それを引きずり下ろした。
似たような光景が今年10月16日、英国マンチェスターの中国領事館前で見られた。香港人の民主活動家が中共政権に抗議するため、習近平氏をアンデルセン童話の「裸の王様」に見立てた看板を出していた。
館内から先頭を切って出てきたのは外交官である領事、その人である。看板を足蹴にして破壊し、問いかける人にためらいもなく暴行を加えた。
中国国内では、50年前の毛沢東時代に引きずり戻したような「赤い歌(紅歌)」が奨励されている。
「没有共産党就没有新中国(共産党がなかったら、新中国はなかった)」。教えられた通り、中国中央テレビで歌う子供に罪はない。が、その子の顔は、すでに北朝鮮の「あの顔」になっていた。無理やりつくった、無機的で不気味な笑顔である。
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