バイデン大統領は、第27回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)において、世界の気候変動目標を遵守するために、気候変動に関連する国やプロジェクトへの投資拡大を発表し、国内のメタン排出を制限する措置を取ることを宣言した。
11月11日、バイデン氏はエジプトのシャルムエルシェイクでのスピーチで、「アフリカ全域における適応努力を支援するイニシアチブを発表する」と述べた。欧州連合とドイツとともに計画する、エジプトのクリーンエネルギーへの移行を促進するための5億ドルの資金パッケージだという。
この投資計画では、エジプトが2030年までに10GWの再生可能エネルギーを導入することを可能にし、同時に5GWの非効率なガス発電施設を停止させ、エジプトの電力セクターにおける排出を10%削減することを掲げる。
さらにバイデン氏は、米国企業とアンゴラ政府の間で20億ドルを投じた新しいアンゴラにおける太陽光発電プロジェクトの建設についても発表した。
気候変動プロジェクトに対する積極的な政策姿勢を改めて表明し、「科学は圧倒的に明快である。この10年の終わりまでに、重要な進歩を遂げなければならない」と述べた。世界的なメタンの制約はその一環で、欧州連合と他の8カ国から始まり、現在では130カ国以上が参加し、世界のメタン排出量の半分以上をカバーするまでに拡大した。
「メタンは二酸化炭素よりも80%強力で、現在の温暖化のほぼ半分を占めている。従って、2030年までにメタンを少なくとも30%削減することがマイナス1.5度の目標に到達し続けるための最大のチャンスとなる」。
バイデン氏は、「本日、米国がどのようにしてこの誓約を達成するのかを示したメタン排出削減計画を発表する」と述べた。
「我々は、国内のメタンガス削減のために200億ドル以上を投資し、メタンガスが漏出しているガス井にふたをして、石油・ガス部門の産業設備を改善する…特に著しく排出する事業者に対しては、部門を超えてメタン排出基準を強化するために、環境保護庁の新しい提案を含む強い規制措置を導入する…」。
大統領によると、これらの措置により、2030年までにさまざまな発生源からの米国のメタン排出量を2005年のレベルより97%削減することができるという。
気候変動に関するアジェンダ
バイデン氏は、「世界気象機関によると、過去8年間は記録的な温暖化だった 」と主張した。「米国では、歴史的な干ばつ、西部での山火事、東部での壊滅的なハリケーンや暴風雨が起きている」。
気候変動に最も脆弱とされる国々が多く存在するアフリカでは、食糧難、干ばつ、洪水が大陸中に広がっている。
バイデン氏は、「米国史上最大の気候法案を盛り込んだインフレ抑制法によって、陸上・洋上風力から分散型太陽光、ゼロエミッション車、持続可能な航空燃料など、あらゆる種類のクリーン電力を支援するため、3680億ドルを供与することが可能になった」と述べた。
新法は、2030年に米国内の排出量を約10億トン削減すると同時に、クリーンエネルギーを動力とする新しい時代の経済成長を解き放つ。
バイデン氏は、また、同政権が政府のサプライヤーに対して、「気候変動への取り組みを開示し、パリ協定に沿った目標を自ら設定することを求めた」ことを明らかにした。
「我々がとった行動のおかげで私は大統領としてここに立っている。私は2030年までに、米国が排出量目標を達成すると自信を持って言うことができる」と述べた。また、ロシアに対しては、エネルギーを武器にし、世界経済を人質にとることを止めるように呼びかけた。
メタン排出量
バイデン政権は、石油・ガス業界を中心にメタン排出量削減の取り組みを進めている。
排出に関する新しい規則は金曜日に発表される見込みで、スコットランドのグラスゴーで開催された国連気候変動サミットでの公約を踏襲したものである。
AP通信によると、最新の規制は、年間3トン(2.7メトリックトン)以下のメタンしか排出しない小さな井戸を含むすべての掘削現場を対象にしている。小さな井戸は、メタンが漏れていないか検査されることはほとんどない。
石油・ガス会社は、バイデン政権に対し、「小規模井戸をメタン排出規制の対象から除外するよう求めており、この分野ではそのような措置は不要である。小規模な油田ではメタンの発生量は微々たるもので、通常はわずかな変動幅で運営されている」と主張している。この提案の厳しいルールに従うことを強要すれば、石油・ガス会社は採算が取れなくなる可能性がある。
(翻訳・大室誠)
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