G20首脳は、海外渡航時のワクチン接種証明に関する世界標準を推進する共同宣言を発表し、既存の新型コロナウイルスのデジタル・ワクチンパスポート制度を基盤とした「グローバル・デジタル・ヘルスネットワーク」の構築を呼びかけた。
共同声明は、インドネシアのバリ島で開催されたG20サミットの終了後に発表された。首脳たちは将来のパンデミックも含め、グローバルな課題とその対応策の調整について議論した。
「我々は、シームレスな国際旅行、相互運用性を促進し、予防接種の証明を含むデジタル・ソリューションと非デジタル・ソリューションを認識するために、共有された技術標準と検証方法の重要性を認める」とG20共同宣言には書かれている。
さらに、これらのグローバル・デジタル・ヘルスネットワークは、「既存の標準とデジタル証明書の成功を生かし構築する」べきであると付け加えている。
新型コロナのワクチンパスポートやその他の様々なデジタル個人証明書スキームは、プライバシーの侵害であり、政府や企業がインフラやサービスへのアクセスを拒否するなど、人間の行動を強制できるようにする可能性があると批判されている。
「デジタルヘルス証明書を持とう」
今回の共同宣言は、G20サミットに先立って開催されたビジネス20(B20)パネルで、インドネシアのブディ・グナディ・サディキン保健相が行った提言を受けたものだ。
11月14日のパネルディスカッションでは、「WHOが認めるデジタルな健康証明書を作ろう。ワクチン接種や検査をきちんと受けていれば、移動が可能になる」と呼びかけている。
サディキン氏は、WHOが標準化したグローバルなワクチンパスポートの利点は、国際的な旅行を容易にすることであると付け加えた。
「次のパンデミックでは、人々の移動が100%ストップして世界経済がストップする代わりに、人々の移動をある程度確保することができる」とも述べた。
サディキン氏によれば、G20諸国はこのようなグローバルなデジタルヘルス証明書に合意しており、現在は、2023年5月にスイスのジュネーブで開催予定の次回の世界保健総会に取りまとめる。
B20は、G20に対する一連の勧告を含む132ページの文書の中で、技術に対応した「常時接続」のグローバルな健康インフラの一部となる新型コロナワクチン接種証明書のデジタル文書化を広く採用するよう求めている。
世界経済フォーラム(WEF)は、2022年2月のレポートで、ワクチンパスポートがデジタル・アイデンティティの一形態として機能すると述べている。
それ以前のレポートでWEFは、「デジタル・アイデンティティは、私たちがアクセスできる製品、サービス、情報を決定する、あるいは逆に、私たちに閉ざされたものを決定する」と述べている。
デジタル収容所
ヨーロッパとラテンアメリカの経済・政治動向について執筆しているジャーナリストのニック・コービシュリー氏は、ワクチンパスポートは世界的なデジタルID制度の導入につながり、世界中のプライバシーと自由を脅かすことになると警告している。
「検問所社会のようなものだ。どこに行くにも、携帯電話や身分証明書を見せなければならない……たとえそれがスーパーマーケットに入ったり、店に入ったりするだけでも」と、彼はEpochTVの番組「クロスロード」で語っている。
コービシュリー氏は、世界的なデジタルID制度の負の側面を、人々が「社会から事実上追放」される可能性のある一種の「デジタル収容所」だと表現した。「それは恐ろしいビジョンだ」と述べた。
(翻訳・大室誠)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。