江沢民死去 人権団体、中国臓器狩り停止を改めて呼びかけ

2022/12/02
更新: 2022/12/02

中国で拘束された「良心の囚人」らの臓器を強制摘出し、法輪功迫害を主導した江沢民・中国共産党元総書記が先月30日、死亡した。国際人権団体は中国当局者および医療従事者に対して、この人道に対する罪への関与をやめるよう呼びかけた。

中国共産党による強制的な臓器摘出は、2006年に初めて公になった。人権団体や大紀元が入手した情報では、弾圧政策により多数拘束された法輪功学習者や同化政策などに遭う少数民族は「生きた臓器バンク」として本人の同意を得ることなく臓器を摘出され、移植や医療研究のために用いられていたことがわかった。

専門家たちは、中国共産党による法輪功迫害がなければ、臓器収奪という大量殺害は起きなかったとみている。

米ワシントン拠点の医師からなる倫理団体「強制的な臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」事務局長トルステン・トレイ氏はエポックタイムズの取材で、今後、系統化された臓器ビジネスの一部はまもなく崩壊すると推測した。また「海外に渡った内部告発者や他の証言者が公の場に現れる可能性もある」と語った。

「強制的に臓器を採取することを隠そうとする試みは弱まり、やがて情報の漏れを引き起こすだろう」

移植手術の待機時間が数週間といった超短期であることや、移植病院の稼働率から、習近平体制以降も臓器収奪は継続していると考えられている。「習近平氏は強制臓器摘出を始めたのではないが存続を認めている。江沢民がいなければ直ちに中止するべきだ。そうすれば、移植件数が大幅に減少する可能性がある」とトレイ氏は述べた。

また、国際弁護士・朱婉琪氏は臓器収奪の共犯者である共産党幹部や医師、看護師に対して、責任を負う者としての「償い」のために「法輪功の強制臓器摘出に関する党の命令、計画、実施に関するすべての証拠と文書を保管する」よう求めた。

中国臓器移植ビジネスの調査第一人者であるデービッド・マタス弁護士は、10億ドル規模の産業は広範な迫害という江沢民単独の指示がなければ実現しなかったと述べた。

「罪のない人々の大量殺害の責任をめぐる争いには、多くの関係者がいる。そして、この血生臭い悪行を江沢民は指揮した。法輪功の弾圧に共産党を引きずり込まなければ、臓器のための大量殺害は決して起こらなかっただろう」

人道に対する罪で、江沢民は国際社会から訴訟を起こされていた。こうした裁判について、「一般的には、国外の裁判は域外管轄権に基づいて刑事上の有罪判決または損害賠償を求めるものだ。しかし、死者に対して刑事裁判を起こすことはできない。民事訴訟の可能性はある。損害賠償を求める裁判になるだろう」とエポックタイムズの取材に答えた。

行動の呼びかけ

中国の強制的な臓器摘出に関する人権団体の報告書を受けて、欧米や台湾では人道に対する罪への取り組みとして法整備に動いている。

英議員は11月30日、臓器の強制摘出に関連する事業や物資の英国への持ち込みを禁止する「調達法案」を推進している。可決されれば、中国医師らに対する英国での臓器移植技術訓練なども禁止される。

米議会では、世界的な臓器取引を抑制するための米国初の法律「強制臓器摘出防止法案」の導入に向けて動いている。法案は、医療分野で中国との移植事業の協力を中止し、臓器移植に関する中国の研究論文を禁止する。

このほか、末期状態の心疾患および肺疾患の研究分野で世界最大の国際学会である「国際心肺移植学会」(ISHLT)は、中国からの移植研究論文の受け入れを中止した。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。
日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。