米ツイッター社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が最近ジャーナリストを通じて公開する一連の社内文書「ツイッター・ファイル」により新事実が発覚した。 新型コロナウイルスをめぐる特定のコンテンツを検閲するよう、連邦政府側からの圧力があったという。
ジャーナリストのデービッド・ツヴァイク氏が最近公開した内部メールによると、米国疾病管理予防センター(CDC)が示すガイドラインや新型コロナウイルスに関する「政府側の見解」と異なるという理由で、ツイッター上の投稿が削除されたり、「誤解を招く」とラベル付けされたりした「無数の事例」があったとしている。
社内の電子メールによると、ツイッターの管理者はソーシャルメディア企業の新型コロナ関連の誤報に関する方針に違反し、「虚偽の情報」を広めているとして、元ハーバード大学医学部のマーティン・クルドルフ教授の投稿にフラグを立てた。ツイッターは、クルドルフ教授の投稿に「誤解を招く」とラベルを付け、いいねや返信を無効にすることで、投稿が広く共有されるのを阻止した。
また米ロードアイランド州に拠点を置く心臓専門家のアンドリュー・ボストム博士のツイッターのアカウントが新型コロナ関連のソーシャルメディア企業の利用規約に違反したとして数回の凍結を受けたあと、永久凍結の対象となった。
「ボストム氏の違反とされたツイートは、正当なデータではあるが、子どものインフルエンザと新型コロナウイルスのリスクに関する公衆衛生機関側が示す見解にとって不都合なデータを引用したものである」とツヴァイク氏は投稿している。
ツヴァイク氏は、ボストム氏のツイートがツイッター社独自の自動化されたモデレーションにより「誤った情報」とのラベル付けがされただけでなく、ときにツイッター従業員が意図的に操作していたとし、「アルゴリズムと人間の両方のバイアスが働いていることを物語っている。ボストム氏のアカウントは数ヶ月も停止されていたが、25日にようやく復活した」と指摘した。
また、バイデン米政権が昨年発足した当初、「ツイッター社幹部との最初の面会要請の1つは新型コロナに関するものだった」と明かし、特に「反ワクチン」を掲げるアカウントに関するものだとしている。
「ツイッター・ファイル」によると、ツイッター社はバイデン政権の指示に完全に従ったわけではなかったことを示している。
ツヴァイク氏は「(ツイッターの)従業員は加減について非常に緻密に議論することが多く、言論の自由に対して政府が要求した以上の注意を払っていたことが明らかになった」と投稿した。
ツイッターの公共政策責任者ローレン・カルバートソン氏が提供した会議の議事録によると、ホワイトハウスの一部当局者は、ツイッターが十分な数のアカウントを削除していないことに「非常に怒って」おり、ツイッター社により一層検閲を行うよう警告した。
ツヴァイク氏の投稿によると、ツイッター社内の議論の中心に挙がったのはドナルド・トランプ前大統領のツイートだという。
ある電子メールで、ツイッターの元副法務顧問ジェームズ・ベイカー氏が20年10月にトランプ氏の「コロナを恐れるな」という投稿にフラグを立てたり、削除しなかった理由について、ツイッターの元セキュリティおよび安全担当責任者ヨエル・ロス氏に尋ねたところ、ロス氏は新型コロナウイルスについて「楽観的な声明」を投稿することは「誤った情報」ではないと答えたという。
「つまり、このツイートは広く楽観的な声明であり、有害なことを扇動するものではなく、予防策を講じたり、マスクの指示(またはその他のガイドライン)に従うことを推奨するものでもない」とロス氏は新しく公開されたメールで述べている。
ベイカー氏は6日、マスク氏により解雇された。
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