広州市の自動車暴走「毛爺爺」が人を狂わせたか?【現代中国キーワード】

2023/01/19
更新: 2023/01/25

【毛爺爺】

1月11日午後5時ごろ、人でにぎわう広州市の交差点に黒い高級乗用車が突っ込み、大勢の通行人やバイクをはねた。

死傷者多数。何回も繰り返し人をはねているので、明らかに意図的な犯行である。犯人は22歳の男で、現行犯逮捕された。

逮捕されるまでの間、男は時折車から降りて、何かを叫びながら最高額紙幣であるピンク色の「百元札」を数十枚、路上にばらまいた。

医学的な診断はともかく、行動を見る限り精神が崩壊している。男の背景や詳しい原因は、まだ分からない。ただ、動画に映る男が撒いていた「百元札」を見て、ふと思った。

小欄の筆者が知る昔(80年代)の中国は、紙幣の図柄に農民や労働者、あるいは漢族以外の民族を用いていた。その後には毛沢東周恩来劉少奇朱徳の4人を横向きに並べた紙幣もでた。

ところが1999年以後は、1元の小額紙幣もふくめて「お札の顔は毛沢東」に統一された。

特に、毛沢東の図案による百元札を、俗称で「毛爺爺(マオイエイエ)」という。日本の1万円札を「福沢さん」と呼ぶ感覚であろう。

ただし、言うまでもなく毛沢東は、戦争時でない平時において8000万人もの自国民を非正常死させた魔王である。その顔を日常の買い物をするたびに目にしたら、人はどうなるか。

もちろん、犯行の直接的な原因は他にあるだろう。しかし「毛沢東の亡霊がとり憑いたか」と思わずにもいられない。中共にとって、紙幣は格好の洗脳アイテムだからだ。