日本の防衛産業、防衛費増と改革で成長へ

2023/01/25
更新: 2023/01/27

最近発表された、2027年までに国内総生産(GDP)の2%を目指すという日本の防衛費増強は、国の安全保障を強化すると同時に、防衛産業を強化することになると、アナリストらは指摘する。

岸田文雄首相は、サイバー防衛、宇宙関連プロジェクト、軍需基地、ミサイルシステムなどの分野に約39兆3,500億円(3,000億ドル相当)を充当する予定だ。 日本は、複数のミサイルプロジェクトの開発を主導するために三菱重工業(MHI)を起用した。

北朝鮮の核・ミサイル開発や、台湾海峡での中国の不安定化活動への懸念が高まっている中、防衛費増は三菱重工や他の日本の防衛メーカーに歓迎されるだろう。

2014年に一定の条件の下で緩和したものの、日本政府は海外市場への武器輸出禁止措置を取っており、こうした企業の生産規模や輸出機会は制限され、防衛契約の潜在的な利益率は低下してきた。 その結果、三井物産、住友重機械工業コマツなどの企業は、機関銃、装甲兵員輸送車、船舶などの生産を中止した。

2022年4月、日本の財界圧力団体として最も著名な経団連は、国内の防衛産業の危機を警告した。 三菱重工の防衛・宇宙セグメント長の阿部直彦氏は、フィナンシャル・タイムズ紙に「この5年間で企業の撤退が続いており、産業を維持するために何かしなければならない」と述べた。

日本のシンクタンク、笹川平和財団の小原凡司上級研究員は、この業界には根本的な改革が必要だとFORUMに語っている。

「今日、日本の防衛企業の顧客は基本的に日本政府だけだ」と、元在中国日本大使館付き海軍武官で海上自衛隊第21艦隊航空隊司令官を務めた同氏は述べ、 「この問題に取り組まなければ、変化と成長は困難なままだ」とした。

当時の中山太郎外務大臣のもとで外国人として初めて日本の国会で働いたティモシー・ラングリー(Timothy Langley)氏は、日本は現在、防衛産業が直面する課題に取り組んでいると述べた。 その戦略のひとつが、国際協力だ。 例えば、三菱重工はイギリスのBAEシステムズ社、イタリアの多国籍企業レオナルド社と次世代戦闘機の開発を進めている。

東京に拠点を置く政府関係コンサルタント会社ラングリー・エスクァイア(Langley Esquire)のCEOを務める同氏は、「同盟国との国際開発プロジェクトは、コストと開発期間を削減することを可能にする」とし、 「また、日本企業にとっても、海外市場に機器を販売する新たな機会となる」とFORUMに語った。

もう一つの重点分野は、日本の民間と公的な防衛分野、特に新興企業との間のギャップを埋めることだ。 例えば、日本は2018年に宇宙スタートアップ向けに融資と投資を提供する約1,230億円(9億4000万ドル相当)の基金を立ち上げた。 当時、そうした企業は全国で20社未満だったが、その数は増えつつある。 日本の2023年度予算では、民間の研究をいかに軍事目的に利用できるかという「橋渡し研究」に約209億円(1億6000万米ドル相当)が充てられており、これは2022年度から約9億1,800万円(約700万米ドル)増加している。

さらに日本は、米国国防総省の国防高等研究計画局の日本版となる、人工知能、量子コンピューター、ドローン技術などの民間プロジェクトに資金を提供する防衛研究所の立ち上げを目指している。

また、日本の防衛省は、米国国防総省がカリフォルニア州シリコンバレーのハイテク企業と連携して行っている「国防イノベーションユニット」を検討する姿勢をみせている。

Indo-Pacific Defence Forum