台湾の蔡英文総統は30日、東欧チェコ大統領選で当選したペトル・パベル元北大西洋条約機構(NATO)高官と電話会談を行った。
台湾総統府や台湾国営通信社「中央通訊社」などによると、会談は約15分間行われ、蔡氏はパベル氏の当選を祝うとともに、「緊密なパートナー関係を築いていきたい」と期待を寄せたという。
パベル氏は会談後、自身のツイッターに「台湾とチェコは自由と民主主義、人権の価値観を共有している」「将来、蔡総統と対面会談する機会を持ちたいことを伝えた」と投稿した。
蔡氏もまた「共通価値のもと幅広い協力関係を深めていくことを楽しみにしている」とツイートした。
チェコは北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)の加盟国で、中国と国交を結んでおり、台湾とは正式な外交関係はない。中国と国交を結ぶ国の次期大統領が台湾側と電話会談するのは極めて異例で、中国の反発が予想される。
ゼマン・現チェコ大統領は10年間、中国からの投資誘致を進め、中国との関係づくりに熱心だった。いっぽう、次期大統領のパベル氏は中国に厳しい立場をとるフィアラ首相の与党連合の支持を受けており、ウクライナ支援を掲げている。政権交代後、チェコの外交政策がこれまでの親中路線から転換する可能性が高いとみられる。
多くの国は中国共産党との軋轢を避けるため台湾との公的交流を控えるなか、チェコやリトアニアなどは価値観の共有と半導体技術を重視して、台湾との関係深化を選択している。
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